種別 論文
主題 設計基準強度210〜360kgf/cm2を対象にした高流動コンクリートの研究
副題
筆頭著者 根本明(内山アドバンス)
連名者1 佐藤次郎(内山アドバンス)
連名者2 阿部保彦(鹿島建設)
連名者3 岡村純二(鹿島建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 149
末尾ページ 154
年度 1993
要旨 はじめに
コンクリート工事における充填性向上および省人化のために、最近、高流動コンクリートのRC工事への活用の機運が高まってきている。しかし従来の高流動コンクリートは、1ないし2種類の微粉末を大量に使用しているものが多く、これを実際に使おうとすると一般の生コン工場では設備の増設をしなければならないという問題があった。そこで、微量でも分離抵抗性の向上に効果のある分離低減剤を用いた高流動コンクリートの開発・実用化研究も各種研究機関で活発に行われている。本研究は、気中コンクリート用に最近発売が開始された低界面活性セルロース系分離低減剤(以降セルロースと略す)を用いて、通常のコンクリートと同程度の設計基準強度210〜360kgf/cm2を対象とした高流動コンクリートの実用化の可能性を探るため、先行開発されていたアクリル系分離低減剤(以降アクリルと略す)を用いた高流動コンクリートと各種性状を比較したものである。分離しないで優れた流動性を有するコンクリートを得るための各種混和材料の適性使用量並びに硬化後の強度、耐久性について述べる。
まとめ
上記の一連の実験は、気中コンクリート用に開発されたセルロース系分離低減剤を用い、比較的低強度の高流動コンクリートの実用化の可能性を探るために、先行開発されていたアクリル糸分離低減剤を用いた高流動コンクリートのフレッシュ時および硬化後の基本特性との比較を行ったものである。この結果をまとめると以下のようになる。(1)OPC単味で300〜450kg/m3、あるいはOPC300kg/m3にフライアッシュを60〜150kg/m3混入したコンクリートにおいて、セルロース糸分離低減剤を0.2〜0.5kg/m3添加することにより、スランプフロー60±5cm、空気量5±1%で分離の無い高流動コンクリートを得ることが可能である。ただし、そのために結合材量の増加に伴い、メラミン系高性能減水剤を結合材量の3.5%から2.5%に適宜減少させ、またロジン酸系AE剤を結合材量の0%から0.03%に適宜増加させる必妻がある。(2)セルロース糸分離低減剤を用いた高流動コンクリートには、スランプフローの経時変化(ロス)を少なくするために、リグニンスルホン酸塩系の減水剤を添加したが、フライアッシュを混入した場合、あるいは分離低減剤量が0.5kg/m3と多い場合には、練り混ぜ後120分経過してもロスは少なかった。しかし、OPC単味で、分離低減剤量が0.2〜0.4kg/m3の場合にはロスが多く、これの改善にはさらに検討が必要である。アクリルの場合には、分離低減剤量、フライアッシュの有無に拘らずスランプフローが少なかった。空気量の時間経過に伴うロスは、セルロースの方がアクリルより少なかった。(3)材齢28日の圧縮強度は、結合材水比が1.67から2.33に大きくなるに伴い、OPC単味の場合は、約300kgf/cm2から500kgf/cm2まで直線的に大きくなっている。フライアッシュ混入の場合は、混入量が0〜120kg/m3に変わっても、ほぼ同じ直線上で約290kgf/cm2から390kgf/cm2まで大きくなっている。いずれも通常のコンクリートと同程度の比較的低い強度に対応可能なことが分かった。(4)凍結融解試験による相対動弾性係数は、OPC単味300kg/m3にセルロースを0.5kg/m3あるいはアクリルを5.0kg/m3混入した場合に、低下が認められるが、分離低減剤を減ずるか、セメント量を増やすか、またはフライアッシュを混入することにより相対動弾性係数の低下は見られなくなる。5)長さ変化率はセルロースとアクリルとは同程度であったが、フライアッシュ混入による長さ変化率低減の効果はセルロースの方が大きい。以上により、気中コンクリート用セルロース糸分離低減剤を用いることによっても通常のコンクリートと同程度の設計基準強度210〜360kgf/cm2を対象にし、既存の生コン工場の設備増設を軽減できるように微量添加で分離抵抗性を付与出来る高流動コンクリートが実現可能であることが分かった。
PDFファイル名 015-01-1023.pdf


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