種別 論文
主題 高強度コンクリートの高層建築物への適用に関する研究
副題
筆頭著者 西田朗(清水建設)
連名者1 橘大介(清水建設)
連名者2 江原恭二(清水建設)
連名者3 熊谷仁志(清水建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
15
1
先頭ページ 375
末尾ページ 380
年度 1993
要旨 はじめに
近年、建築分野では設計基準強度が420〜480kgf/cm2の高強度コンクリートを使用した高層建築物が建設されるようになり、その製造・施工技術については多くの報告がなされている。一方、著者らは、これらのコンクリートよりさらに高強度の設計基準強度600kgf/cm2のコンクリートの製造・施工技術についてすでに報告を行っており、この中で多くの知見を得ている。こうした背景のもと、神奈川県海老名市において建設が進められている地上25階建ての高層建築物に計基準強度420〜600kgf/cm2の高強度コンクリートの適用が計画され、そのための製造・施工技術を検討する機会を得た。この事前検討において、既報の結果を踏まえて、設計基準強度420〜600kgf/cm2を想定したコンクリートについて、調合設計と構造体コンクリートの強度管理に関する検討を重点的に行った。本報告は、このうち、夏季施工を想定した場合の設計基準強度600kgf/cm2のコンクリートに関する検討を中心に取りまとめたものである。図-1に本報告における研究の流れを示す。
まとめ
設計基準強度420〜600kgf/cm2の高強度コンクリートを高層建築物に通用するための製造・施工技術に関する検討を行い、この中で調合設計、構造体強度管理を中心に実験を行った。本研究の範囲で得られた結果をまとめると以下の様になる。1)室内調合実験の結果、設計基準強度600kgf/cm2程度までの高強度コンクリートを得るためには、骨材の選定を十分に行うことが必要であることがわかった。また、部材温度履歴モデルを与えた温度追従養生を行った結果、コンクリートの強度発現は標準養生と比べて、大きく異なることが確認され、室内実験で構造体強度の傾向を捉えることができた。2)レディーミクストコンクリート工場における練混ぜ実験の結果、アジテータ車に練り置いたコンクリートの90分までのスランプロスはほとんどなく、良好な状態を保持することができた。また、実機プラントで練り混ぜたコンクリートは、室内実験に比べて同一水セメント比で70〜90kgf/cm2程度強度が小さくなることが確認された。同時に打ち込んだモデル試験体のコア強度は温度追従養生供試体の強度に比べて5%程度の低下となり、良好な対応が得られた。3)設計基準強度600kgf/cm2のコンクリートを対象として行った実大施工実験において、標準養生強度と構造体強度推定値の比率による補正係数を用いた調合強度算定式から、水セメント比を28.5%とすることで、強度管理材令28日において実大試験体から採取したコア強度は所要の強度をほぼ満足するものとなった。4)調合設計において標準養生強度と構造体強度推定値の比率により調合強度を算出する方法や構造体の強度を部材の温度追従養生強度で判定する方法は、設定数値の決定や装置の管理に十分な注意が必要であることがわかった。こうした点を十分検討した上で、これらの方法は設計基準強度420〜600kgf/cm2の範囲の高強度コンクリートに適用が可能と考えられる。上記の結果を踏まえて、今後、冬季施工等に関する検討を行う予定である。
PDFファイル名 015-01-1062.pdf


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