種別 | 論文 |
主題 | 複合要因による鉄筋腐食と補修方法の検討 |
副題 | |
筆頭著者 | 小林茂広(中研コンサルタント) |
連名者1 | 宮川豊章(京都大学) |
連名者2 | 菊池保孝(西日本旅客鉄道) |
連名者3 | 北後征雄(ジェイアール西日本コンサルタンツ) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 15 |
号 | 1 |
先頭ページ | 703 |
末尾ページ | 708 |
年度 | 1993 |
要旨 | 目的 コンクリート構造物の損傷劣化のうち、複合した原因によるものと推察される事例が増加しており、その検討結果も種々報告されている。筆者等も中性化、塩害およびアルカリ骨材反応の複合による鉄筋腐食について検討を加え、アルカリ骨材反応による1000×10-6程度の膨脹は中性化を促進する要因とは考え難いこと、また塩化物イオン量1.5〜3.3kg/m3程度の混入量では、混入した塩分量が中性化を促進する要因ではないとの結果を報告した。このような複合した要因により損傷を受けた、あるいは受ける危険性の大きい構造物の維持管理・補修においては、外観の変状がない、つまり鉄筋の発錆がないか、もしくは発錆が軽微な状態において、内部塩分の移動濃縮による塩害を含めて、鉄筋の発錆進行を今後どのように防止するかが重要な課題である。本研究では、複合した要因による劣化について、塩化物イオン量を5.0 kg/m3まで範囲を広げて検討を加えるとともに、種々の損傷要因・レベルの試験体を用い、代表的な補修材料である完全防水型および透湿柔軟型の材料の使用による鉄筋腐食の進行抑制効果について検討を加えた。なお、本研究は、日本材料学会「コンクリートのひびわれ補修に関する基礎的調査研究委員会(委員長:京都大学工学部教授 森井学)」の調査研究活動の一環として行ったものである。 まとめ 1)塩分量の大小と中性化深さの進行度には相関関係が認められない。2)ASRによる膨脹率が1000×10-6程度であれば、中性化の進行度が早くなることはない。3)現時点における代表的なコンクリート構造物用補修材2種類(完全防水型、透湿柔軟型を設定し検討を加えたが、促進中性化期間3ケ月後の評価では中性化の進行をほぼ防止している。4)補修材の塗布により、中性化深さの進行度が塗布前よりも減少している供試体が多く認められる。これは、補佐材の塗布により外部と遮断されたため、湿分(水分)の移動・平均化が生じ、これにつれてOHイオンが移動したため、いわゆる再アルカリ化が生じたためと考えられる。5)塩分を原因とする発錆が中佐化の進行により促進されている状況が推察される。逆にいえば、塩分量がある程度多くても中性化が鉄筋位置まで達していなければ発錆量は少ない。6)内的塩害の可能性のある構造物の補修を行う場合においても、中性化程度も指標のひとつとして補修の要否あるいは程度を判断することが適切である。中性化深さが鉄筋位置に達するまでに補修施工を行うことが効果的である。 |
PDFファイル名 | 015-01-1117.pdf |