種別 | 論文 |
主題 | 極低温下における曲げ加工された鉄筋の耐衝撃性に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 瀬戸謙一郎(東北大学大学院) |
連名者1 | 三浦尚(東北大学) |
連名者2 | 舩本浩二(東北大学学生) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 15 |
号 | 1 |
先頭ページ | 875 |
末尾ページ | 880 |
年度 | 1993 |
要旨 | はじめに 近年、LNG貯蔵タンクの建設材料に鉄筋コンクリート(以下、RCと呼ぶ)が使用されるようになってきており、また、将来的には超電導利用施設へのRCの利用も考えられる。このように、極低温下でRCが利用されるようになると、その温度でのRCの力学的性質を十分に知る必要がある。極低温下においては、コンクリートの引張強度は温度の低下に伴って増加し、さらにその破壊はより脆性化する。そのために、RCのコンクリート部分に引張ひびわれが生じる場合、常温の時と比べて鉄筋に衝撃的に荷重が作用し、鉄筋に大きな歪や歪速度が発生する。一方、極低温下において鉄筋は破壊に際しての歪速度依存性が大きくなり、衝撃的な荷重下では脆性的に破壊する。したがって、極低温下にさらされるRC部材は、コンクリートひびわれ時の衝撃により、鉄筋が脆性破断する恐れがあると考えられる。またこの場合、鉄筋が冷間曲げ加工されていると、与えられた予歪による加工硬化の影響により、加工していない場合に比べてより脆性的に破断する可能性が大きくなることが示されている。さらに、冷間曲げ加工によって予歪を与えられた鉄筋は、歪時効硬化の現象によって、長期間放置すれば、時間の経過とともに次第に硬化し、脆くなる。そのため、この硯象によって、冷間曲げ加工された鉄筋は、時間の経過とともに耐衝撃性が低下すると考えられる。本研究ではこのような問題を明らかにするため、まず、極低温下のRC部材のコンクリートひびわれ時の衝撃によって鉄筋に生じる歪や歪速度を両引供試体を用いて測定し、そこから得られた結果を参考にして鉄筋単体にその歪と歪速度を与え、極低温下における鉄筋の耐衝撃性に及ぼす鉄筋の曲げ加工や温度の影響について調べた。また、歪時効による鉄筋の耐衝撃性の低下を調べるために、歪時効をおこさせた鉄筋を用いて同様の試験を行った。なお、本研究では、超電導利用施設へのRCの利用を念頭において、非磁性鉄筋の衝撃試験も行った。 結論 (1)一般の良好な鉄筋では、曲げ内半径2φまでの曲げ加工の範囲において、予歪量と破断温度の関係はほぼ線形を示すと考えられるが、曲げ加工の影響を大きく受ける鉄筋では、予歪量が大きくなると、破断温度がかなり上昇するため、温度の上昇にともない、予歪量の増加による破断温度の上昇が頭打ちになると考えられる。(2)今回の試験では、歪時効によって鉄紡が脆化することが確認された。(3)歪時効による鉄筋の耐衝撃性の低下は、予歪量の大きいところで顕著に現れ、予歪量の小さいところでは、歪時効の影響は小さくなることがわかった。(4)今回の試験で使用した非磁性鉄筋については、極低温下での耐衝撃性は大変優れていることが確認された。(5)以上のことから、実際の設計にあたっては、極低温下で引張を受ける鉄筋コンクリート構造物に用いられる鉄筋の許容曲げ内半径は、鉄筋の材質や形状、使用温度に応じて個別に制限されなければならないことが明らかになった。 |
PDFファイル名 | 015-01-1147.pdf |