種別 | 論文 |
主題 | 水和熟がRC部材の変形と力学性状に及ぼす影響に関する考察 |
副題 | |
筆頭著者 | 伏見聡(宇都宮大学) |
連名者1 | 佐藤良一(宇都宮大学) |
連名者2 | 氏家勲(宇都宮大学) |
連名者3 | 山下浩(宇都宮大学大学院) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 15 |
号 | 1 |
先頭ページ | 1179 |
末尾ページ | 1184 |
年度 | 1993 |
要旨 | まえがき 層状に打設される大断面の鉄筋コンクリート(RC)構造物や内巻きをして仮設構造物を本体の構造物として利用するような大断面の構造物では、水和熱による温度応力を受けた後に外荷重を受けることになるが、この温度応力あるいは温度ひびわれの影響が設計上取り扱われることはほとんどないように思われる。これは、温度ひびわれの影響度が不明確であること、温度応力は自己制限的な応力でひびわれの発生によって緩和されると考えられていること、終局曲げ破壊時の変形に比べ温度による変形が小さくその影響は無視し得ると考えられていることなどによると思われる。ところで、これまでに実施された実験や解析によれば水和熱によって発生した温度勾配や温度応力によってマスコンクリートは軸方向に加えて曲げ変形することが知られている。この現象はいわゆるコンペンセーションラインあるいはプレーン法で考慮され実用にも供されている。この曲げ変形に起因する温度応力をより正確に評価するためには外的な拘束と共に外部拘束を受けない自由な曲げ変形(以下、自由曲げ変形と呼ぶ)を的確に把握することが大切である。しかし、この自由曲げ変形を検討した例は見当たらない。上述したことから、本論文の目的の一つは二層に打設されたはりモデルを用いて、新設のコンクリートが水和熱によって温度上昇、降下したときのはりモデルの自由曲げ変形を把握すること、二つ目は線膨張係数の経時変化、温度の相違による断面各位置の弾性係数とクリープの相違、クリープに及ぼす応力発生材令を考慮してどの程度自由曲げ変形を予測し得るかの検討、三つ目はこの自由曲げ変形が地盤あるいは自重などによって完全に拘束されると想定しさらにその後応力が加算される方向に外力曲げモーメントを受けたときの鉄筋応力度やひびわれ暗に及ぼす温度応力の影響を把握することなどである。 結論 水和熱による自由曲げ変形、既設コンクリートからの拘束に加えて自由曲げ変形が拘束されることにより生しる温度応力、およびその温度応力がRC部材の力学性状に及ぼす影響について実験的に検討した。本研究の範囲内で得られた主な結論は次のようである。1)断面内でひずみの直線性を仮定しても物性値を適切に取り入れることにより自由変形曲率をある程度の精度で予測することは可能である。しかし、温度ピーク時と安定温度時の変形を同様の精度で予測することは出来ない。2)自由変形曲率が完全に拘束された場合、温度応力がRCはり部材の鉄筋応力度やひびわれ幅に及ぼす影響はかなり大きく、鉄筋比が小さくなるとさらに顕著になる。このため、鉄筋が拘束体および被拘束体の双方に配筋されていても、被拘束体の鉄筋比が0.34%と小さい場合には、被拘束体の引張鉄筋が降伏するときの外力モーメントは、常温部材のそれよりも30%近く小さかった。 |
PDFファイル名 | 015-01-1200.pdf |