種別 論文
主題 摩擦破壊理論に基づくコンクリートの粗亀裂せん断構成則モデル
副題
筆頭著者 和田俊良(北海道職業能力開発短期大学)
連名者1 上田正生(北海道大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
15
2
先頭ページ 45
末尾ページ 50
年度 1993
要旨 はじめに
著者らは既報において、コンクリート亀裂形成時の界面の微小領域(以下、微小面と称す)が、ある角度密度分布を有することを前提条件として、分離界面での相互の接触挙動を摩擦せん断すべりと見なした接触密度型の数学モデルを定式化し、引張軟化領域を対象とした実験値と解析値との比較を行った。その結果、著者らのモデルは初期弾性場から軟化終局場まで応力の推移を精度よく追跡することが明らかとなった。しかしながら、実際の構造部材に引張亀裂のみが発生・伸展することは少なく、引張軟化領域のみを対象とした著者らの既報の構成則モデルの実用解析への適用範囲はあまりにも狭小である。周知のように、実際のコンクリート部材の亀裂形成時に頻発する応力は、曲げとせん断による重ね合わせであって、この応力場に適用可能なモデルを開発するには、著者らの引張軟化モデルの適用範囲を拡張する必要がある。本研究の目的は、コンクリート引張亀裂形成後のせん断変形亀裂界面でのせん断応力-せん断変位およびせん断応力-垂直応力関係を解析するために、著者らが引張軟化のために関発した摩擦理論に基づく構成則モデルを発展させ、その適用範囲を拡張することである。本論文では、コンクリートの引張亀裂が予め発生・伸展した後、せん断が卓越する変形場をモテル適用範囲と定め、摩擦理論に基づいた粗亀裂せん断モデルを誘導する。既報では考慮しなかった、圧縮とせん断が同時に作用する応力場の破壊基準を設け、せん断膨張の概念を本モデルに新たに導入し、さらに、既往の実験値と解析値との比較から、著者らの手法の妥当性について若干の検討・考察を加えることとする。
まとめ
本論文では、Mohr-Coulomb則を破壊判定基準とした著者らの既報の引張軟化モデルを発展させ、粗亀裂せん断構成則モデルを誘導した。本モデルを用いて、亀裂幅を一定に保持した単調せん断載荷試験体と正負交番繰返しせん断試験体の解析を行って、亀裂界面での応力-変位構成関係について、解析値と実験値との比較・検討を試みた。その結果、摩擦理論に基づいた本モデルは、単調載荷経路、繰返し挙動下の包絡曲線、除荷および再接触経路をほぼ満足できる精度でシミュレートし得た。これより、亀裂機構を追跡できる適用範囲のより広い摩擦モデルの開発の可能性が高いことが、明らかになった。今後は、コンクリート試験体のせん断載荷実験を行って、無亀裂場からせん断亀裂形成までのプロセスに追随できる更に適用性の優れた摩擦構成則モデルを作成する予定である。
PDFファイル名 015-01-2007.pdf


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