種別 論文
主題 低側圧3軸圧縮応力下で生じたひび割れ面のせん断伝達劣化機構のモデル化
副題
筆頭著者 村上雅英(近畿大学)
連名者1 大谷恭弘(神戸大学)
連名者2 西野和弥(近畿大学大学院)
連名者3 窪田敏行(近畿大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
15
2
先頭ページ 57
末尾ページ 62
年度 1993
要旨 はじめに
コンクリート材料の応力-ひずみ関係については最大応力前の硬化領域に対して、例えば弾塑性理論に基づく現象学的モデルや微視構造的観点から定式化されたモデルなど、すでに多くのモデルが提案されている。しかし、最大応力以降の軟化領域に対しては、硬化領域に対する手法をそのまま適用した場合の解の安定性・唯一性の問題や、有限要素法に適用した場合の要素サイズの影響などの問題が生じることが明らかとなってきた。引張応力下でのクラック形成に伴う軟化挙動の取り扱いに対しては、破壊エネルギーに基づいて要素サイズの影響を考慮したモデル化により、多くの場合これらの問題は克服されてきている。一方、多軸圧縮応力下での軟化挙動の取り扱いに対しては、Shear Bandなどの機構を仮定した方法や、Non-local理論による方法、或いはMicro Mechanics的手法などが試みられているが、実用的なモデルの開発に至っていないのが現状である。鉄筋の横補強効果を期待したコンファインドコンクリートなどの軟化領域の構成則は、主として鋼管や横補強筋などによる軸対称な拘束下での実験結果を回帰的に数式モデル化したものに基づいたものが大部分である。軸対称な拘束を与える3軸圧縮試験や試験体形状を立方体とした3軸圧縮試験ではひび割れ面が複雑に生じるため、軟化領域のShear Bandなどの機構に基づいた理解を複雑にしている。そこで、筆者らは機構のモデル化を2次元で扱うことの可能な非軸対称な低側圧をプレーンコンクリートに与える3軸圧縮試験装置を考案した。そして、一連の実験より側圧状態に依存しない最終安定条件が存在することを確認した。また、最大応力以降のσ33曲線の軟化領域の勾配のばらつきとひび割れ本数に密接な関係があることも確認した。本論文では、低側圧3軸圧縮状態ですべり破壊面(モデルではShear Bandに対応する)が明確に生じる破壊に限定し、筆者らの実験結果に基づき最大応力以降の軟化領域のモデル化を行い、実験で得られた知見をモデルの観点より検討する。
まとめ
破壊機構を2次元的な解析で扱うことの可能な3軸圧縮試験を行い、最大応力以降の軟化現象に対して破壊の局所化機構を考察し、以下の知見が得られた。劣化の程度を表す指標αを導入することによって見かけの粘着力と摩擦係数を分離できることを示すと共に、Shear Band内のせん断伝達能力の劣化の推移を定量的に示し、それらを数式モデルで表現した。ひび割れ線が1本の場合に対して、その数式モデルより計算されたσ33関係と実験値はよく一致した。現時点ではShear Band幅の確定、複数本のひび割れ線が発生するための分岐条件、Shear Band内の流れ則の定式化、2次元から3次元への拡張・破壊基準を平面から曲面へ拡張する方法など低側圧3軸圧縮域における破壊の局所化機構を解明する上で数多くの問題が残されている。
PDFファイル名 015-01-2009.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る