種別 | 論文 |
主題 | 鉄筋コンクリート梁端接合部における重ね継ぎ手の強度と変形性能 |
副題 | |
筆頭著者 | 東健二(新井組) |
連名者1 | 林静雄(東京工業大学) |
連名者2 | 香取慶一(東京工業大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 15 |
号 | 2 |
先頭ページ | 205 |
末尾ページ | 210 |
年度 | 1993 |
要旨 | はじめに 部材の主筋に継ぎ手のある場合、建物に要求される構造性能が継ぎ手の特性によって影響されることもある。特に、プレキャスト(以下、PCaと記す)構造物のように数多くの継ぎ手を一箇所に集中して計画する必要のある建物においては、継ぎ手の設計が重要となる。PCa造建物において、継ぎ手の特性を考慮した構造設計法を確立する必要がある。しかし、このような設計法は複雑であるため、母材と同等の構造性能を有する継ぎ手の開発が盛んに行われている。現在、種々の継ぎ手が開発されているが、機械式、圧接継ぎ手では、複雑な工程がはいるうえに、配筋に高い精度が必要で施工誤差に対する逃げを小さくする必要がある。重ね継ぎ手の場合、継ぎ手長さが長くなりやすいという欠点はあるものの、特別な工程を必要とせず配筋の自由度は大きい。重ね継ぎ手により主筋を部材の端部で継ぐことが、PCa造建物では切望されている。重ね継ぎ手の研究は、強度に関するものがほとんどで、靭性に関するものは少ない。本研究は、重ね継ぎ手の靭性設計に必要な資料を得て、一体打ち同等型の構造物に対して幅広く応用できる設計法を確立することを目的としている。今回は、重ね継ぎ手長さをできるだけ短くするために、フック付き重ね継ぎ手形式について実験を行い、継ぎ手のない部材と継ぎ手を有する部材の剛性、塑性率、主筋の応力状況を比較することにより、両者の構造特性の違いを検討している。 まとめ 1)コンクリート打ち継ぎ面の平均せん断応力度は、フックのない試験体の重ね長さ20dで28.5kgf/cm2であり、重ねながさ30dで24.6kgf/cm2であった。フック付きのものは重ねながさ20dでも打ち継ぎ面は、フック部の主筋のダボ効果によりせん断すべり破壊しなかった。2)部材の剛性は鉄筋量の影響により、重ね長さ1Oaの場合でも、その剛性は継ぎ手のないものより大きかった。重ね継ぎ手部材の剛性の変化は、特に重要な問題となる量ではなかった。3)フック付きで重ね長さが10dあれば、そのフック形状に関係なく、塑性率は1.00を確保できた。しかし、継ぎ手のない部材と同等の靭性を確保するためには、90°フック付き継ぎ手において余長8d以上でかつ重ね長さ20d以上が必要である。4)主筋の最大付着応力度は、D25で55.0kgf/cm2、D29で40.0kgf/cm2であった。文献2)による平均付着応力度は、D25では53.1kgf/cm2と実験値とよく一致しており、D29では46.2kgf/cm2と実験値を上回った。5)フックのない試験体は最大付着応力度に達すると急激に破壊したが、フック付きのものは、フック部の定着により付着喪失後も耐力を保持していた。 |
PDFファイル名 | 015-01-2034.pdf |