種別 | 論文 |
主題 | 中央鉄筋を持つ鉄筋コンクリート柱の変形能に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 宮腰昌平(早稲田大学大学院) |
連名者1 | 豊田哲也(清水建設) |
連名者2 | 盧永坤(早稲田大学) |
連名者3 | 田中彌壽雄(早稲田大学) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 15 |
号 | 2 |
先頭ページ | 413 |
末尾ページ | 418 |
年度 | 1993 |
要旨 | はじめに 地震時に建物の柱に降伏ヒンジが形成される場合、柱には一般的に大きな軸力が作用しており、期待できる変形能には限度がある。この降伏機構で、層崩壊を引き起こさないためには、大きな変形のレベルに対して軸力を保持しながら変形能を確保するような工夫が必要となる。鉄肋コンクリート柱における上述のような現象に対し、より経済的な補強方法の一つとして、部材断面の中央に補強要素を配置することを提案する。柱はフレームの一部材として構造物の全体的な曲げを受ける。一般的な配筋法による柱主筋は軸力によるひずみとともに曲げによる軸方向ひずみも受けるため、座屈しやすい。しかし、柱断面の中央部はこの曲げによる軸方同力の影響が少ないため、周囲の鉄筋より座屈の可能性は低くなる。それゆえ、中央補強は鉄筋コンクリート柱の破壊の抑制に効果的であると考えられる。本研究では、図-1に示すように柱中央部に鉄筋を設け、軸力を負担させることにより柱の圧縮破壊を遅延させ大きな変形のレベルに対して軸力を保持しながら変形能を持たせることを目的とし、シアスパン比2.5の普通コンクリートを用いた鉄筋コンクリート柱供試体を対象として繰り返しせん断載荷実験を行い、その破壊特性と靱性能に関して考察を行った。今回の実験では、中央補強として、鉄筋を用いている。しかし実用的には、より座屈しにくいものとして鋼管、あるいはH鋼の使用が考えられる。 結論 今回の実験で、次のような結論が得られた。・中央補強をしない通常配筋の供試体は軸力、帯筋比の違いによって異なる挙動を示した。帯筋比1.28%の供試体は、曲げ降伏後も靱性を保ち、その後に曲げによる圧縮破壊によって終局した・帯筋比0・56%の供試体は、曲げ降伏後の供試体全体に発生する主筋に沿った縦ひび割れが生じたのち耐力が急激に低下し、脆性的な挙動をみせた。帯筋比0.85%の供試体は前述の二つのケースの中間的な挙動をみせた。このような傾同は軸力比0.25より0.33のほうがより顕著であった。・中央補強をした供試体のひび割れ分布と最大耐力およびそのときの変位は、中央補強をしてない供試体と同様であった。・中央鉄筋による補強効果は破壊性状に大きく影響され、曲げ圧縮破壊をする帯筋比1.28%の場合はその効果が認められたが、部材全体に主筋に沿ってひび割れが形成される帯筋比0.56%の場合はあまり見られなかった。さらに軸力比0.25より0.33のほうがより効果的であった。・大きな軸力及び水平変位を受け、せん断補強が密実に施された鉄筋コンクリート柱では、中央補強は靱性及び軸力の保持に効果を示す。中央補強部材の断面上の適切な位置、及びその慣性モーメントは今後の課題である。 |
PDFファイル名 | 015-01-2069.pdf |