種別 論文
主題 AFRPロッドで補強したRCスラブを用いた緩衝構造に関する実証実験
副題
筆頭著者 岸徳光(室蘭工業大学)
連名者1 中野修(北海道開発局)
連名者2 西弘明(北海道開発局)
連名者3 囲村富雄(三井建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 935
末尾ページ 940
年度 1993
要旨 はじめに
従来まで道路上に設置されている落石覆工等の構造物には落石によって生じる衝撃力を緩和させる目的で敷砂が用いられている。しかしながら敷砂を緩衝材として用いる場合には、緩衝効果に限度があること、敷厚を増すと死荷重が増大し構造物本体がトップヘビー構造となり耐震上好ましくないこと等の問題点があげられている。著者等はこれらの点を改善すべく、衝撃緩衝作用と荷重分散作用に優れた材料を組み合わせた複層緩衝構造の開発を行ない、室内実験や屋外実験を行ってその性能について検討を行なってきた。それは、表層材として敷砂、芯材としてRC版、裏層材としてEPS(Expanded Poly-Styrol)材を用いる三層緩衝構造である。検討の結果、本緩衝構造は敷砂と比較して緩衝性、荷重分散性に優れ、敷砂の欠点を克服できる可能性が明らかになった。特に芯樹RC版に関しては補強筋として異形鉄筋を用いる場合と、高強度、高弾性伸び率を有するAFRPロッドを用いる場合の緩衝性能に関する検討も行なっている。昨年度の実績より、後者のRC版を用いる場合には、緩衝効果に関しては異形鉄筋を用いる場合と同程度であり、特に繰返し載荷時には荷重継続時聞を延ばす作用があることが明らかになっている。本論文では、芯材に補強筋としてAFRPロッドを用いたRC版を用いる場合の実構造物への適用の信頼度を高めることを目的として、北海道開発局帯広開発建設部が建設中の美幌覆道(一般国道336号広尾町)を用いた実証実験を行ない、衝撃力や覆工内の応答性状についての検討を行なったので報告する。本実証実験では共用開始前の美幌覆道頂版上に、AFRPロッドや、異形鉄筋を補強筋とする芯材RC版を用いた三層緩衝構造を設置し、重量3tfの重錘を最大高さ30mから自由落下させて実験を行なっている。
まとめ
芯材RC床版の補強筋として高強度、高弾性伸び率を有するAFRPロッドを用い、表・裏層材としてそれぞれ敷砂、およびEPS材を用いた三層緩衝構造(As-)の実構造への適用に関する信頼度を高めることを目的として、供用開始前の実覆工を用いた実証実験を行なった。実験は、芯材RC床版が20cm、表・裏層材が50cmの緩衝構造を覆工頂版上に設置し、重量3tfの重錘を最大高さ30mより落下させて行なった。なお、性能比較のために芯材RC床版の補強筋として異形鉄筋を用いた場合(D-)や90cm厚の敷砂を用いた場合(S90-)についての実験を行なっている。本実験より得られた結果を要約すると、1)As-、D-等の三層緩衝構造の場合は伝達衝撃応力が2kgf/m2程度の均等な分布となる。一方、S90-の場合には載荷点部が大きい円錐状分布となり、その最大値はAs-、D-の10倍以上である。2)As-、D-の場合は伝達衝撃力が重錘衝撃力よりも20〜30%小さくなるが、S90の場合は逆に50%大きくなる。3)As-、D-の場合は、S90-に比較して伝達衝撃力、主波動継続時間とも覆工の曲げモーメン下を低減する方向に作用する。覆工の最大応答値に注目した場合のAs-、D-の緩衝性能は、重錘落下エネルギーより考えるとS90-の3倍程度、運動量から考えると√3倍程度となる。以上より、AFRPロッドを補強筋とする芯材RC床版を用いる三層緩衝構造は、異形鉄筋を用いる場合と同様、十分に実務に適用可能であることが実証された。
PDFファイル名 015-01-2158.pdf


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