種別 | 論文 |
主題 | 円形鋼管で補強したコンクリート充填角形鋼管柱に関する実験的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 蜷川利彦(九州大学) |
連名者1 | 崎野健治(九州大学) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 15 |
号 | 2 |
先頭ページ | 971 |
末尾ページ | 976 |
年度 | 1993 |
要旨 | はじめに 著者らは、コンクリート充填角形鋼管柱の軸方向縮みの累積や耐力低下等の耐震性能の劣化を改善する方法として、角形鋼管内部に円形鋼管を埋設し補強することを提案している。これは、埋設円形鋼管の横拘束効果により柱の軸方向縮みを抑制し、コンクリートの圧漬や角形鋼管の局部座屈の進展を防ごうとするものである。著者らは既に柱端部の塑性ヒンジ領域を埋設円形鋼管で局部補強したコンクリート充填角形鋼管柱(せん断スパン比2.O)の一定軸力下(軸力比N/No=0.3、Noは角形鋼管と充填コンクリートの軸圧縮耐力の単純累加値Nは載荷軸力)での繰り返し曲げせん断実験を行い、この補強方法が大変形時の耐震性能をよく改善することを明らかにした。また、この実験では、補強を施した柱にはヒンジ頷域だけでなく材軸中央部にも角形鋼管に膨らみが確認され、中央部も補強する必要があることが示唆されたい。本論では前回の実験結果を踏まえ、補強範囲を材軸中央部まで広げた柱も実験の対象に加え、高軸力(軸力比0.6)および中軸力(軸力比0.4)の一定軸力下における繰り返し曲げせん断実験を行い、その弾塑性性状を明らかにするとともに、補強方法の有効性について検証する。 結論および今後の研究課題 柱内部に円形鋼管を埋設し補強したコンクリート充墳角形鋼管柱の中軸力(軸力比0.4)および高軸力(軸力比0.6)の一定軸力下における繰り返し曲げせん断実験を行い、以下の結果を得た。1)中軸力の場合は柱端部のみを補強することで耐力低下および軸方向縮み量を少なくすることができるが、高軸力の場合は端部補強の柱では無補強部分のコンクリートの圧潰により、補強効果は小さくなる。しかし、柱を全補強することにより、高軸力の場合でも靭性に富んだ柱とすることができ、端部補強および無補強の柱に比べ軸方向縮み量もかなり抑制できる。2)円形鋼管を柱梁接合部に定着することにより、曲げ耐力は上昇する。これは円形鋼管が曲げモーメントを負担するためと考えられる。また、柱梁接合部に定着せず補強する場合も、無補強の場合に比べ若干耐力が高くなる。これは円形鋼管の横拘束効果によるものと思われる。ただし、高軸力の場合は、端部のみの補強では全補強の場合ほどの耐力上昇は望めない。これは、無補強部分のコンクリートの圧潰が原因と考えられる。以上より、円形鋼管で埋設補強することで、コンクリート充填角形鋼管柱の耐震性能をよく改善できることが明らかとなった。補強方法としては、特に高耐力を期待したい場合を除き、柱の軸方向縮みを抑えるという点より柱内法部のみを補強する方法が有効であると考える。しかし、この方法においても高軸力下では軸方向縮みを充分に抑制しているとはいえない。どの程度の軸方向縮み量まで許容できるのか、どの程度の軸力まで作用させてよいのか等について定量的に評価するためには、検討すべき問題も多く、今後の研究課題といえる。 |
PDFファイル名 | 015-01-2164.pdf |