種別 報告
主題 低発熱型高強度コンクリートの諸性質
副題
筆頭著者 溝淵利明(鹿島)
連名者1 岩井稔(鹿島)
連名者2 高木淳(東京瓦斯)
連名者3 武内等(鹿島)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 393
末尾ページ 398
年度 1993
要旨 はじめに
近年、諸外国では設計基準強度800kgf/cm2レベルの場所打ち高強度コンクリートが行われている.わが国でも超高層RCビルや長大斜張橋のタワー、大容量地下式貯槽側壁等を適用の対象として、高強度コンクリートに関する技術開発が積極的に行われている。また、最近では、比較的マッシブなコンクリート構造物への高強度コンクリートの適用が検討されている.その場合、単位セメント量の増加によって硬化時におけるセメントの水和反応に伴う温度上昇量が大きくなることや、粘性の増加に伴いコンクリート製造時での練りまぜ効率の低下、ポンプ圧送時における管内の圧力損失の増加等、高強度コンクリートを用いる上で解決すべき技術的課題がある.このような技術的課題に対して筆者らは、これまでに高炉スラグ微粉末を大量添加した低熱スラグセメント及び高性能AE減水剤を用いた投計基準強度600kgf/cm2の高強度コンクリートを対象に各種検討を行ってきた。本報文では、設計基準強度600kgf/cm2の低発熱型高強度コンクリートの大容量地下式貯槽側壁への適用を目指して、低勲スラグセメント及びフライアッシュ10%混入マスコン型高炉B種セメントを用いたコンクリートの諸性質について実験的検討を行ったものである。
まとめ
低熱スラグセメント及びフライアッシュ10%混入マスコン型高炉B種セメントを用いた設計基準強度600kgf/cm2の低発熱型高強度コンクリートについて、コンクリートの諸特性の検討を行った。本実験で明らかとなった点を以下に示す。(1)LSCの凝結始発時間は、練上り温度にかかわらずFMKC-10に比べて約2時間早い傾向を示した。LSC及びFMKC-10とも凝結始発までの積算温度は、練上り温度にかかわらずほぼ一定であったことから、実構造物においても温度測定結果を活用することにより、その部位での凍結始発時間をある程度推定することが可能と思われる。(2)LSCは若材令での圧縮強度発現がFMKC-10よりも大きいことから、LSCがFMKC-10に比べて寒中時での型枠の早期脱型に対して利点があると思われる。(3)単位セメント量が最も多いLSCの断熱温度上昇量は、同じ強度レベルの普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと比較して約20℃の低減が可能となった。単位セメント当りの湿度上昇量で比較した場合、LSCが最も小さく、FMKC-10の約1/2程度であった。(4)LSCのクリープ係数は、示方書・設計編に示された値に比べ、1/2以下であった。また、乾燥収縮量は、普通セメントを用いた強度レベルのコンクリートに関する既往の文献値に比べてLSCで1/3程度、FMKC-10で1/2程度であることがわかった。設計基準強度600kgf/cm2のコンクリートを対象として、低発熱性と凝結が遅れないことを目指して、2種類のセメント(低熱スラグセメント及びフライアッシュ10%混入マスコン型高炉B種セメント)を用いて配合検討を行った。その結果、両セメントを用いた場合とも普通ポルトランドセメントを使用した場合に比べて、低発熱性は認められるが、低熱スラグセメント使用の方がフライアッシュ10%混入マスコン型高炉B種セメント使用に比べて、1)断熱温度上昇量Kが約14℃小さいこと、2)凝結始発時間が約2時間早いこと、3)若材令での圧縮強度の発現が大きいことが確認され、品質的にはやや優ることがわかった。今後はこれらのコンクリートを用いた実規模レベルでの打設実験を行い、コンクリートの側圧、ポンプ圧送性や品質管理方法等、実用化に向けて検討を進めていく予定である。
PDFファイル名 015-02-1065.pdf


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