種別 報告
主題 コンクリート表面からの水分蒸発過程による透水性評価実験
副題
筆頭著者 伊藤洋(熊谷組)
連名者1 坂口雄彦(熊谷組)
連名者2 前村辰二(熊谷組)
連名者3 藤原愛(原子力環境整備センター)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 507
末尾ページ 512
年度 1993
要旨 はじめに
コンクリート表面付近における水分の蒸発現象は、乾燥収縮のみならず中性化、劣化、塩分浸透といった耐久性に係わる問題、加えて建物内の湿気や透水試験法などの透水性評価に係わる問題にも関与する重要な課題である。しかし、コンクリート中の水分移動と表面の蒸発過程に焦点を当てた研究は少なく、今後の取り組みに期待されるところが大きいと考えられる。本研究では、こういった背景にあって、コンクリート表面からの蒸発量を基礎的に評価することを目的として、2種類のベンチレーション試験法を提案し、円柱供試体を用いて表面蒸発量測定の基礎実験を行った。その結果、ここで提案した方法によりコンクリート表面からの水分蒸発量評価が可能であることが示唆され、また透水性評価に有用な知見が得られたと思われるのでここに報告する。
まとめ
本研究では、コンクリート表面からの水分蒸発過程に焦点を当て、その蒸発量を測定する方法として2種類の方法を提案し、いくつかの供試体を用いて実験を試みた。その結果、A法(蒸発水分量を閉塞された容器内の湿度の上昇量より換算する方法)では、環境条件が経時変化することと短時間(数時間)で蒸発が平衡状態となることといった精度上の問題はあるが、極めて微量な蒸発量を短時間で測定するには有効な方法であることが示唆された。一方、B法(蒸発水分量を閉塞容器内の凝集剤に吸収させる方法)では、測定に時間を要する(数日〜数十日)が、境界条件は安定しやすく、精度のよい測定が可能であることが認められた。今回の実験では、W/Cの小さい密実なコンクリートを用いて実験を行ったが、コンクリート表面からの水分蒸発量(フラックス密度)は、1.16×10-8〜1.23×10-7kg/m2s(1〜11ml/m2day)であった。また、水蒸気拡散係数はD=1.92〜3.82×10-7m2/sとなり、別に行った水蒸気拡散試験の結果と比較的よく一致した結果となった。他方、コンクリート内の水分状態に関係なくダルシー則を仮定して透水係数を求めると、k=1.37×10-13〜1.04×10-12m/sとなった。この透水係数は、W/Cが40%程度の通常のコンクリートのそれのオーダと一致した。しかし、このことから逆にコンクリートの透水性評価において、従来あまり問題とされていなかったが浸透フラックスと蒸発フラックスの区別が必要であることを示唆した。今後は、ここで提案した測定方法をさらに実際的な構造物へ展開し、コンクリート表面からの蒸発量及び透水性の評価法として確立したいと考えている。
PDFファイル名 015-02-1084.pdf


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