種別 | 報告 |
主題 | 海洋コンクリートの劣化診断・補修設計エキスパートシステム |
副題 | |
筆頭著者 | 大音宗昭(東洋建設) |
連名者1 | 佐野清史(東洋建設) |
連名者2 | 渡辺英市(日石エンジニアリング) |
連名者3 | 森悦栄(日石エンジニアリング) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 15 |
号 | 2 |
先頭ページ | 767 |
末尾ページ | 771 |
年度 | 1993 |
要旨 | はじめに 港湾・漁港等の海洋における鉄筋コンクリート構造物に劣化が増えている。特に桟橋のような梁と床版からなる上部が海面上の飛沫帯にある構造物に著しい。20年〜30年を経たものにひびわれ、錆汁、剥離・剥落等が多く見られる。塩分が風浪によってコンクリート表面に付着し内部に浸透していくこと、腐食因子である酸素と水分が常に供給される環境にあること、また乾湿の繰り返しや表面温度変化が激しいこと等が劣化を促進しているものと思われる。他方、船舶による衝撃力、風力、波力、土圧、地震力等の外力が大きく、かつ貨物による上載荷重・重量物トラックによる繰り返し荷重を受ける。したがって、いったん劣化が始まりひびわれが生じると加速度的に進行する例がみられる。劣化診断と補修設計には専門家が当っているが、かなりの手間とコストが掛かる上に専門家が不足している。このため一般の土木技術者でもできるよう専門家の経験と知恵を取り入れたエキスパートシステムを開発することとした。開発は先に診断を行い、それに基づいて補修設計を行うという二つの手順に分けて行った。桟橋上部工の例を図-1に、劣化診断・補修設計フローを図-2に示す。補修設計エキスパートシステムは、構造物の諸元および部材別・性状別劣化度のデータを劣化診断エキスパートシステムから受け入れて稼働するものとしている。これらエキスパートシステム化の手順と設計の内容を以下に説明する。今回のシステム開発の対象構造物は、海上の桟橋に限定した。これは、劣化の原因と対策を塩害に絞って考えることができ、構造物の形状が画一的でアウトプットでの図化が簡単なことから、まず最初に取りあげたものである。なお、システム開発のツールには市販のAIソフトを利用し、操作はパソコンで扱えるものとした。 おわりに 海洋桟橋の鉄筋コンクリートについての劣化診断と補修設計は、劣化度を要素にしてマトリックス表に整理でき、lF-THENの連続で推論ができる。このためプロダクションルールを用いて、エキスパートシステムにすることができた。操作も簡単で明解な出力が得られるものとなっている。しかしながら、劣化診断については、各部材の劣化度として判定項目ごとの最大値を採ることにしているため安全側になる。したがって、補修工費としては高めにでる。劣化度と耐荷力の関係、補修工法と耐久性の関係について適用調査例を増し、確信度を入れることが考えられる。一次診断のための目視による調査を写真読み取りに変えること、二次診断のための調査を非破壊試験に変えることなど、今後調査に関する省力化が必要である。補修工法についても細かい部分を上向きで作業する場合が多く、工法そのものの変革が望まれる。今後、システムの改良に努力して行きたい。 |
PDFファイル名 | 015-02-2129.pdf |