種別 委員会報告
主題 炭酸化研究委員会報告
副題
筆頭著者 小林一輔(千葉工業大学)
連名者1  
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 19
末尾ページ 24
年度 1993
要旨 委員会設立の背景
この数年来、コンクリートの炭酸化に関する知見は大幅に書き換えられつつある。従来、コンクリートの炭酸化と言えば、大気中の二酸化炭素の作用によってコンクリート中の水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化することによってコンクリートの保有する高いアルカリ性が失われる現象を意味するものであった。従って、これは“中性化”と呼ばれ、専ら鉄筋腐食との関連において取り上げられてきた。しかし、数年前に埼玉県の大規模集合住宅の建物の鉄筋コンクリート基礎から採取したコアに異常な変色現象が発見されてから、コンクリートの炭酸化が一躍、注目を集めることになった。炭酸化によって生じるコンクリート組織の変化、炭酸化によって生しるコンクリート内部における物質移動現象等に関する新しい知見が相次いで明らかにされ、炭酸化がコンクリートの早期劣化を引き起こす第3の要因として位置づけられることになった。さらに、近年、盛んに実施されるようになった実構造物の劣化調査結果は、昭和40年代以降につくられたコンクリート構造物において、炭酸化が急速に進行していることを明らかにしている。これらの情勢は、コンクリートの炭酸化について種々の角度から総合的に検討を行い、従来の炭酸化の考え方を根本的に洗い直して新しい炭酸化の概念を再構築する必要があることを示している。本研究委員会は以上のような情勢に対応するために設置されたものである。
おわりに
炭酸化によるコンクリート構造物の劣化は今後、建物の鉄筋コンクリート基礎や橋脚基部のような比較的水セメント比の大きい配合のコンクリートにおいて無視し得ない問題になると考えられる。コンクリートの炭酸化に関する調査研究はようやく緒についた段階であって、十分な劣化対策を講じるためには、なお一層の調査研究を必要とする。この種の研究を格段に進展させるためには、コンクリート工学、セメント化学、岩石鉱物学の研究者がそれぞれ緊密な連携を保持しつつ学際的な視野に立って研究を行う必要があろう。
PDFファイル名 015-03-0003.pdf


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