種別 | 論文 |
主題 | 断熱温度上昇下における高ビーライトセメントの強度発現性に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 長岡誠一(大阪セメント) |
連名者1 | 水越睦視(大阪セメント) |
連名者2 | 黒田保(鳥取大学) |
連名者3 | 小野成子(大阪セメント) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 1 |
先頭ページ | 301 |
末尾ページ | 306 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに 近年、マスコンクリートにおける温度ひびわれの抑制を目的として、クリンカー鉱物のうち水和熱の小さいビーライト(C2S)の構成比率を中庸熱セメントよりもさらに多くした高ビーライト型低発熱セメント(以下、高ビーライトセメントという)が開発され、実用化されつつある。 しかし現在、わが国においては諸外国規格における「低発熱ポルトランドセメント」に相当する規格がないため、呼び名をはじめとしてC2S量、水和熱、圧縮強さ等はセメントメーカーにより各社各様の状況にある。 筆者らは、実生産可能なセメントにおいて、温度ひびわれの抑制に最も有効であると考えられるビーライト含有量を把握するために、実機により生産されたC2S量の異なる4種顆のセメントを用いて、C2S量とコンクリートの諸性質の関係についての検討を行ってきた。その結果、温度ひびわれ抵抗性の指標の1つと考えられる圧縮強度/断熱温度上昇量の関係は、若材令ではC2S量が多くなると小さくなるが、長期材令においてはC2S量が多くなるはど大きくなることが明らかになった。しかし、ここで評価した圧縮強度は標準養生での値であって、実構造物における温度履歴とは異なる条件下でのものである。したがって、温度履歴を考慮した強度発現性により、温度ひびわれ抵抗性を評価する必要があると考えられる。 本研究は、断熱温度上昇下におけるC2S量の異なる4種類のセメントを用いたコンクリートの強度発現性ならびに水和状況を明らかにし、高ビーライトセメントのマスコンクリートヘの適用性について検討したものである。 4.まとめ 本研究で得られた主な結果をまとめると、次のようである。 (1)標準養生における強度発現は、セメント中のC2S量の増加にともない大きく遅れるが、材令の経過にともなう強度増進は大きくなる。 (2)断熱温度上昇下における強度発現性も標準養生の場合と同様の傾向であるが、C2S量の多いセメントでは材令の経過にともない標準養生の場合と同等以上に強度が増進するのに対し、C2S量の少ないセメントでは強度増進割合が顕著に低下する。 (3)断熱温度上昇量1℃当たりの圧縮強度は、標準養生、断熱養生とも若材令においてはC2S量の増加とともに小さくなるが、材令の経過にともなう増加の割合はC2S量が多い方が大きく、長期材令ではC2S量が多い方が値が大きくなる。また、材令の経過にともなう増加の割合がC2Sの多い方が大きくなる傾向は、断熱養生においてより顕著である。 (4)Ca(OH)2生成量から推定される水和率は、マチュリティーが等しい場合、C2S量が少ないセメントでは標準養生に比ベ断熱養生の場合の方が高くなる。一方、C2S量が多いセメントでは、標準養生と断熱養生で同程度である。 (5)断熱養生を行った場合の硬化体の細孔径分布は、C2S量が少ないセメントでは標準養生に比べ粗い側にシフトする。一方、C2S量の多いセメントでは標準養生の場合と同程度である。 |
PDFファイル名 | 016-01-1048.pdf |