種別 | 論文 |
主題 | セメント粒子の分散に及ぼす高性能減水剤の立体障害効果の役割 |
副題 | |
筆頭著者 | 吉岡一弘(徳山曹達) |
連名者1 | 坂井悦郎(電気化学工業) |
連名者2 | 大門正機(東京工業大学) |
連名者3 | 北原文雄(東京理科大学) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 1 |
先頭ページ | 335 |
末尾ページ | 340 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物系(BNS)、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物系(MS)高性能減水剤(以下、分散剤と呼ぶ)はセメント粒子に吸着しその表面電位の絶対値を増加させ、その静電反発力によりセメント粒子を安定に分散する。この分散機構はDLVO理論により説明されている。ところが、近年、ポリカルボン酸系と総称されるものが分散性、分散保持性(スランプロス防止)に優れた分散剤として着目され、特にエチレンオキシドマレイン酸、エチレンオキシドアクリル酸複合体系など(以下、ポリカルボン酸系と総称)のように分子内にグラフト重合鎖を有する分散剤の優れた分散性能が注目され高性能AE減水剤として実用化されている。後者の分散剤は分子内にもつエチレンオキシド共重合鎖(以下、グラフト鎖)によりセメント粒子を分散させているという報告もあるが、その分散機構は十分に説明されていない。本研究では、ポリカルボン酸系の分散剤によるセメント粒子の分散機構を理論的に明らかにすることを目的とした。 7.まとめ ポリエチレングリコール鎖をグラフト鎖にもつ共重合体からなる分散剤(ポリカルボン酸系分散剤)のセメント粒子の分散効果について、グラフト鎖吸着モデルを想定し、立体障害効果による全ポテンシャルエネルギー曲線を計算した。これに基づき、その作用機構について考察し、以下のような結論を得た。 (1)ポリカルボン酸系分散剤を加えた系のセメント粒子の表面電位の絶対値は粒子を分散させるには不十分であり、この系の分散を従来のDLVO理論で説明することは難しい。 (2)立体障害効果全ポテンシャルエネルギー曲線は、静電反発力によるエネルギー曲線と比較すると、極大値は示さず、より離れた粒子間距離から曲線は急激に増加する。これは、吸着した分散剤の立体障害効果によりセメント粒子が安定に分散することを示している。 (3)分散剤のグラフト鎖間隔とグラフト鎖長が等しい場合、グラフト鎖が長くなるにつれ、エネルギー曲線が立ち上がる粒子間距離は長くなり、その極小値の絶対値も小さくなる。このモデルでは、セメント粒子に吸着する分散剤のグラフト鎖n数が10以上であれば、セメント粒子は安定に分散することが推測された。 |
PDFファイル名 | 016-01-1054.pdf |