種別 論文
主題 エトリンガイト生成系混和材を用いた高強度セメントペーストの水和
副題
筆頭著者 渡邉芳春(電気化学工業)
連名者1 友澤史紀(東京大学)
連名者2 川瀬清孝(新潟大学)
連名者3 坂井悦郎(電気化学工業)
連名者4
連名者5
キーワード
16
1
先頭ページ 359
末尾ページ 364
年度 1994
要旨 1.はじめに
 エトリンガイトの生成を利用した混和材を用いた現場打ち高強度コンクリートの基本的性質については、既に報告した。このエトリンガイト生成系混和材はスランプ保持機能を有し、かつ、減水率をより効率良く高めるために予め減水剤が配合されている。そして無添加(減水剤のみ)のコンクリートと比較すると、凝結は若干遅延されるが、
1)同一水結合材比の調合を得るのに単位結合材量が少なく出来る。
2)断熱温度上昇量は、同一水結合材比の場合は約13℃、同一結合材量では約4℃低い。
3)同一水結合材比における標準養生した圧縮強度は約15MPa高く、気乾養生した場合や熱履歴を受けるとさらに高くなる傾向を示す。
4)圧縮強度に対する弾性係数や曲げ強度、引張強度の比率は無添加と変わらない。
5)空隙量に対する圧縮強度の勾配が大きく微細組繊が強化されている。
6)標準養生における水和物の構成は針状結晶が主体となっている。
などの特徴が明らかとなっている。
 本報告では、主に、エトリンガイト生成系混和材を添加した場合の特徴である水和熱が低くなるにも拘わらず強度が高くなる理由を明らかにするために、水和熱により熱履歴を受けたセメントペーストによる水和性状について検討を加えた。
4.結論
 二種類のEtt.系を添加した場合と無添加のセメントペーストについて、水和熱により熱履歴を受けた場合の水和性状を検討し、以下のことが明らかとなった。
(1)Ett.系を添加することにより水和熱による最高到達温度は11〜17℃低くなるにも拘わらず圧縮強度は10〜20MPa高い値を示した。
(2)Ett.系からのAFtの生成はC3Sよりも先行して行われ、C3Sの水和量を増大させ、AFtの結晶水が多いことにも関連して結合水量を高める。そして、AFtの生成は大きな空隙を充填し細孔径分布を小さい側にシフトさせ密実化を促進する。
(3)Ett.系のC−S−Hは棒状に成長し、無添加の場合の球状とは異なった結晶形態を示した。そしてEtt、系の場合の細孔量が少なくなるほど高い強度が得られる理由の一つとして、この棒状のC−S−HやAFtの針状結晶などの格み合いによる微細組織の強化が考えられた。
(4)生成したAFtは、AFmへの転移や水和熱による脱水などを生ずることはなく安定であることが明らかとなり、また、未水和のCSは残存していない。
 なお、Ett.系がC−S−Hの結晶成長に影響を与える理由については、今後の検討課題である。
PDFファイル名 016-01-1058.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る