種別 論文
主題 コンクリート用混和材としてのもみがら灰の利用について
副題
筆頭著者 中嶋清実(豊田工業高等専門学校)
連名者1 河野伊知郎(豊田工業高等専門学校)
連名者2 吉田弥智(名古屋工業大学)
連名者3 原田耕司(西松建設)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 419
末尾ページ 424
年度 1994
要旨 1.はじめに
 近年、混和材としてその効果が注目されているものにシリカフュームがある。日本においてもその関心が高く、シリカフュームを混和材として利用する研究は数多くなされており、その成果が報告されている。しかし、日本では良質のシリカフュームは生産されておらず、量にも限界がある。外国産のシリカフュームを購入して使用する場合には、コストおよび安定供給という面で問題がある。
 一方、アメリカにはもみがらを燃料とする発電所が各地に点在しており、そこから多量のもみがら灰が廃出されている。このもみがら灰は適切な燃焼方法により100%のアモルファスのもみがら灰となる。そこで、コンクリートに対する品質の改善効果はシリカフュームに似ていて、さらに製造費も安価で、多量に安定供給できる可能性のあるアモルファスのもみがら灰は、これからのコンクリート用混和材として大変有用と考えられる。
 もみがら灰のコンクリートへの利用に関する研究はカルフォルニア大学パークレー校のMehta教授が、1974年頃から行っており、その成果が報告されている。日本では、山本、杉田、原田らの研究があるが、それらの研究はモルタルが主体で、コンクリートに使用する場合の研究はまだ十分行われていない。また、Mehta教授の研究成果を日本のコンクリートにそのまま適用するには問題がある。従って、今回の研究は、アメリカおよびメキシコの発電所から廃出された3種類のもみがら灰を使用し、コンクリートの諸性質にどのような効果があるかを明らかにしようとしたものである。あわせてシリカフュームを用いたコンクリートと比較検討を行った。
4.まとめ
1)スランプの経時変化試験より、RHA I(ルイジアナ産)のもみがら灰を用いたコンクリートのスランプロスはプレーンコンクリートと同程度で小さいが、RHA II(テキサス産)および  RHA III(メキシコ産)の場合はシリカフュームを用いたコンクリートと同様、スランプロスは大きくなった。この理由は、もみがら灰の物理試験結果より分かるように、RHA I(ルイジアナ産)は比表面積、電気伝導率差とも他のものより小さく、水和反応は遅いが、RHA II(テキサス産)およびRHA III(メキシコ産)は比表面積、電気電導率差がシリカフュームより大きいため、水和反応は極く早期より起こるためと考えられる。
2)凝結硬化速度試験より、プレンコンクリートと比較すると、RHA I(ルイジアナ産)コンクリートは始発が2時間程度、終結が2時間30分程度遅くなった。それに比べて、RHA II(テキサス産)コンクリートは、始発、終結とも30分程度早くなり、RHA III(メキシコ産)コンクリートでは始発、終結とも3時間程度早くなった。さらにRHA IIIコンクリートについてはシリカフュームコンクリートよりも始発が30分程度早くなった。この理由は、スランプの経時変化のところで述べたように、比表面積および電気電導率差の違いによるものと考えられる。
3)もみがら灰を用いたコンクリートの圧縮強度と材令の関係をプレーンIコンクリートと比較すると、RHA I(ルイジアナ産)コンクリートは、初期強度(1日、3日)は低いが長期強度(91日)は同等以上となった。RHA II(テキサス産)コンクリートおよびRHA III(メキシコ産)コンクリートは、初期強度は高いが長期強度はプレーンコンクリートよりも同等以下となった。そして、3種のもみがら灰をシリカフュームコンクリートと比較すると、初期強度ではシリカフュームコンクリートを上回るが、長期強度では6〜10%程度下回った。
4)RHA II(テキサス産)のおきかえ率と圧縮強度試験においては、おきかえ率10%までは、おきかえ率が増加するに従い、強度は増加し、それ以上になると強度は減少した。ちなみに0%と比較して10%では1.2%の増加であり、20%、30%では1.9%、6.0%の減少であった。
5)もみがら灰を用いたアルカリ骨材反応試験では、セメント量の10%をもみがら灰でおきかえれば16週日までの膨張率はほぼ0%となり、3種のもみがら灰ともアルカリ骨材反応の抑制効果があることが認められた。
6)透水試験結果より、水セメント比45%の場合は、3種のもみがら灰を混入したコンクリートは、シリカフュームコンクリートよりも水密性が低くなった。しかしながら、水セメント比が55%、65%と高くなるにつれて、もみがら灰混入コンクリートの方が、シリカフューム混入コンクリートよりも水密性が高くなった。
 以上のことから、著者らの使用したもみがら灰はコンクリート用混和材として有用性の高いものであることが認められた。
PDFファイル名 016-01-1068.pdf


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