種別 論文
主題 脱リンスラグ混合セメントのモルタル特性
副題
筆頭著者 崔現國(日本大学大学院)
連名者1 露木尚光(日本大学)
連名者2 佐久田昌昭(日本大学)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 431
末尾ページ 436
年度 1994
要旨 1.はじめに
 鋼材品質の高級化と製鉄プロセスの合理化という相反する要求を解決するため、網材にとって有害な成分であるSi、S、Pを溶鉄段階で除去し、転炉では脱炭と昇温のみを行う新しい製鋼プロセスが製鉄各社で実用化されている。現在、溶銑の脱リン時に発生する脱リンスラグは年間数百万トン副産されている。前報では、新製鋼法によって副産される脱リンスラグを水硬性材料として利用するための方法を明らかにした。脱リンスラグの主要鉱物は β−2CaO・SiO2(以下 β−C2Sと記す)、フッ素アバタイト(Ca5F(PO4)3)で、この他に遊離石灰(CaO)を2〜5%含有している。したがって、脱リンスラグをこのままのかたちでポルトランドセメントに混合することはできない。このため、著者らは脱リンスラグを低温で焼成することを試み、これによって遊離石灰(CaO)を0.1wt%以下に低下させることができた。以下、低温で加熱処理した脱リンスラグを改良脱リンスラグという。
 現在、シリカ質のコンクリート混和材として、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、シリカヒュームなどが知られている。本研究では、この改良脱リンスラグのコンクリート混和材としての可能性を検討し、強度に及ぼす影響について高炉水砕スラグと比較検討した。特にそのときのまだ固まらないモルタル(フレッシュモルタル)の粘性、断熱温度上昇試験を行って低発熱型としての特性を明らかにした。
5.まとめ
 本研究によって得られた結果をまとめると、以下のようになる。
(1)改良脱リンスラグを混合したモルタルの曲げ強度は、OPCモルタルと比べて大きな違いは認められなかった。
(2)改良脱リンスラグを混合したモルタルの圧縮強度はOPCモルタルと比べて少し小さいが、材令と共に上昇する傾向が認められた。
(3)改良脱リンスラグを混合したモルタルの長さ変化は、遊離石灰(CaO)の存在で膨張することが予想されたが、むしろ、OPCと同様な収縮が認められた。
(4)改良脱リンスラグを混合したフレッシュモルタルの粘度は、水結合比が同じてあっても混合材及び混合量によって異なることが分かった。これは後の物性に影響するものと考えられる。
(5)改良脱リンスラグを混合したモルタルの長期強度は、スラグ中のβ−C2Sに起因するものである。28日材令でゲル状C−S−H水和物が確認され、これは強度の発現に寄与するものである。
(6)改良脱リンスラグを混合したコンクリートの断熱温度上昇値は極めて低温で、低発熱型として有効である。
PDFファイル名 016-01-1070.pdf


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