種別 論文
主題 若材令コンクリートの強度に及ぼす間隙水圧に関する基礎的研究
副題
筆頭著者 谷口幸弘(広島大学大学院)
連名者1 大下英吉(広島大学)
連名者2 田辺忠顕(名古屋大学)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 645
末尾ページ 650
年度 1994
要旨 1.はじめに
 コンクリート中の水分移動に関するメカニズムを正確に把握することは、コンクリート部材の強度、クリープあるいはレラクゼーション、乾燥収縮、クラックやコンクリートの打継ぎ面からの漏水等の予測をする上で重要なばかりでなく、放射性廃棄物の拡散移動の問題など、実用上の技術的安全性検討の見地からも、極めて重要な問題と考えられる。
 一般に、コンクリートは多孔質材料であり、特に初期材令においては、内部の空隙にゲル水やキャピラリー水を多く含んだものである。このような多孔質材料の強度特性は、固体相に作用する応力(有効応力)で表されることが一般的である。載荷応力が、有効応力と間隙水圧との和で定義されると仮定すると、コンクリート内の固体相に生じる応力は、コンクリート内部に発生する間隙水圧により異なることになる。すなわち、コンクリート強度特性に影響を及ぼす大きな要因の一つが、間隙水圧であるといえる。
 そこで本研究では、コンクリート内部に発生する間隙水圧測定実験を実施し、コンクリートの応力特性に及ぼす間隙水圧の影響を実験的に検討することを目的とする。
7.結論
 本研究では、コンクリートの間隙水圧特性に及ぼす各パラメーターの影響およぴコンクリートの応力特性に及ぼす間隙水圧の影響の実験的検討を行った。実験は、横方向変位が拘束された三軸完全非排水状態で行われ、荷重は一軸方向に圧縮載荷した。間隙水圧の測定位置は、完全非排水状態であることから、コンクリート内部に発生する間隙水圧は場所によらず一定であるものと想定し、モールド底部に設けた排水口にて行った。なお、設定した実験パラメーターは、処女載荷応力比および水中養生期間である。以下に、その結果をまとめる。
(1)横方向変位を拘束した三軸完全非排水状態を模擬したモールドを開発することにより、硬化したコンクリートの間隙水圧測定が可能となった。
(2)コンクリートの含水率が大きいほど、またコンクリート粒子間の結合力が小さいほど、発生する間隙水圧は大きくなる。
(3)全応力〜間隙水圧関係における勾配は、マクロ的に見たコンクリート粒子間の結合力を表す一つの主要因である。コンクリート粒子間の結合力が大きくなると、(2)から載荷応力を負担するコンクリート骨格の応力(有効応力)が大きく、逆に間隙水圧は低下する。全応力〜間隙水圧関係の勾配は、まさにこのような現象を表している。
(4)本研究の範囲内では、含水率が小さく、結合力が大きいほど、有効応力は正の圧力として大きくなる。しかし、せん断変形や塑性体積膨張などが起こるような状態においては、有効応力特性は上記とは逆の現象になることが予想される。
 なお、せん断変形や塑性体積膨張が生じる場合の間隙水圧測定実験に関しては、境界条件を変えて実施する予定である。
PDFファイル名 016-01-1106.pdf


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