種別 | 論文 |
主題 | コンクリートの断熱温度上昇予測モデルに関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 玄哲(東京大学大学院) |
連名者1 | 友澤史紀(東京大学) |
連名者2 | 野口貴文(東京大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 1 |
先頭ページ | 693 |
末尾ページ | 698 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに マスコンクリートや高強度コンクリートにおいては、水和熱によるコンクリートの温度上昇やそれによる温度ひび割れの発生が大きな問題である。特に高強度コンクリートの場合には、単位セメント量が大きいため、短期間に急速な温度上昇が生じ、通常の部材寸法でも温度ひび割れが生じる可能性が大きい。この問題に対処するためには、部材の温度上昇や温度分布の予測モデルが必要であり、これに関して従来より多くの研究がなされ、予測モデルも提案されている。しかし、これまでのモデルは、温度上昇速度を決める係数をコンクリートの断熱温度上昇試験から求め、これを断熱状態にない部分のコンクリートの温度上昇予測にも使用するという不合理性を持っている。このため、部材各部の温度分布予測を実際の状況に適合させることが困難となり、また温度上昇に伴う強度発現状況などの予測も困難となると考えられる。特に、部材寸法がそれ程大きくない高強度コンクリートの場合は、中心部分と表面部分の水和進行状態や水和発熱速度も異なり、その強度発現状況にも差が生じていると考えられる。より正確な温度分布やひび割れ発生の予測を行うためには、より現実に忠実なモデルが必要である。 本研究では、まずセメントの水和反応モデルに基づく任意温度下での水和発熱速度のシミュレーションの可能性を実験結果と対比することによって検討し、さらにその結果を用い、断熱状態におけるセメントの水和反応とコンクリートの温度上昇の相互促進状況として、コンクリートの断熱温度上昇を計算し、このモデルの適用性を検証した。 5.まとめ 本研究はセメントの水和反応についての友澤モデルを利用し、セメントの水和発熱速度推定への適用性を検討し、さらにコンクリートの断熱温度上昇の実験結果との比較を行ってコンクリートの温度上昇予測モデルとしての可能性を試みたものである。その結果をとりまとめると、以下の通りである。 (1)セメント水和発熱速度試験およびシミュレーションを通じて同モデルの水和発熱速度予測モデルヘの適用可能性が明らかになった。 (2)各種セメントについての各反応係数は、セメント種類によって反応速度係数Krが、水セメント比によって初期皮膜の物質移動系数が変化し、水の拡散係数Dは早強セメントだけが大きい値を示してその他の係数は同一の値となった。 (3)セメントの水和反応モデルを利用し、コンクリートの断熱温度上昇をシミュレーションすることができた。特に温度依存性の係数が、セメント種類、水セメント比に関係なく一定値として確認されたので、高強度コンクリートのように部材内部と外部との温度差が大きく、それによる部材各部分の反応速度の変化を予測する手段として有用なモデルだと思われる。 (4)以上のことから、本予測方法は従来の断熱温度上昇実験結果だけに基づいた方法では予測不可能な部材各部分の温度勾配によるセメントの発熱速度変化及びコンクリートの温度上昇の予測を可能とし、より正確なひび割れ発生予測に寄与できると考えられる。 |
PDFファイル名 | 016-01-1114.pdf |