種別 論文
主題 各種多孔質コンクリートの炭酸ガス吸収特性と物性変化
副題
筆頭著者 小川洋二(徳島大学)
連名者1 河野清(徳島大学)
連名者2 尾畑真由美(徳島大学大学院)
連名者3 中村秀三(小野田セメント)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 717
末尾ページ 722
年度 1994
要旨 1.はじめに
 地球環境問題が世界中でクローズアップされている昨今、環境への配慮がこれからのすべての生産活動において重要課題となってきている。本研究では、それらのうち地球温暖化現象の原因のひとつとされている二酸化炭素(以下CO2)に着目した。
 コンクリートは、本来CO2を吸収する性質がある。セメントの水和反応によって生じた水和物が、CO2と反応して炭酸カルシウムなどに変化すると同時にアルカリ性を失っていく。従来この現象は中性化と呼ばれ、鉄筋コンクリートにとって鉄筋の防錆上好ましくなく、いかにしてこれを防ぐかという研究がなされてきている。
 一方、コンクリートがCO2を吸収することによる物性の変化は、現在までいくつかの報告がされているが、いまだ明確にはなっていない。筆者らは、限定された条件下ではあるが、コンクリートの性能が向上するという結果を得ている。また最近では、鉄筋に代わって腐食をしない炭素組織、アラミドなどの新素材の開発、研究も進んできている。したがって、コンクリートがCO2を吸収するという性質をうまく活かせば、CO2の有効利用につながる可能性があると考えられる。しかし、コンクリートに積極的にCO2を吸収させるという視点からの研究は少ない。
 そこで本研究では、CO2を吸収しやすい多孔質なコンクリートを作製し、その炭酸ガス吸収特性や物性の変化について検討することを目的とした。本研究では、コンクリート自身の要因として、空隙構造、空隙量を取りあげ、炭酸ガス吸収特性との関係について評価を行い、さらに吸収後の圧縮強度、静弾性係数の変化について検討を行った。
4.まとめ
 空隙構造や空隙量を変化させて作製した各種の多孔質コンクリートを、炭酸ガス養生を行ってそれぞれの炭酸ガス吸収特性および圧縮強度、静弾性係数の変化について検討を行った。得られた結果を以下にまとめる。
(1)気泡コンクリートの場合、気泡量が多くなるにしたがって炭酸化はおこりやすくなる。そして、空隙率が6〜10%までは表面部分のみで反応がおこるが、20%をこえると短期間に内部までかなりの炭酸化が進行した。
(2)概ね混入気泡量が2倍になると、初期の炭酸化は3倍程度しやすくなった。
(3)内部まで連続空隙を有するまぶしコンクリートでは、早期から多量の炭酸ガスを吸収できる。
(4)気泡コンクリートでは、微細な空隙を有するため炭酸化が長期にわたって継続された。
(5)本条件下においては、多孔質コンクリートに炭酸ガスを吸収させた場合、圧縮強度は増加した。その増加割合は、標準養生下での増加割合に対して上回っていた。
(6)静弾性係数は、炭酸化が進行することにかかわらず、圧縮強度の変化によって影響される。
PDFファイル名 016-01-1118.pdf


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