種別 論文
主題 粗骨材の形状、配置が弾性波の伝播速度に与える影響
副題
筆頭著者 伊東良浩(佐藤工業)
連名者1 魚本健人(東京大学)
連名者2
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 747
末尾ページ 752
年度 1994
要旨 1.はじめに
 コンクリートの弾性波伝播速度にばらつきが生じる原因として、コンクリート自体の不均質性によるもの、製造過程において発生するもの、測定装置や測定手法の違いによるものなどが考えられる。例えば、尼崎らによりコンクリート打設時の骨材の分離・沈降によって、同一供試体内において伝播速度が20%程度も異なることが報告されており、このようなばらつきは弾性波法による非破壊試験の信頼性に対する懸念材料の一つである。
 本研究では、コンクリートがマトリックスと粗骨材という材質の異なる材料で生成されていることが、このようなばらつきを生じる一つの原因と考え、この不均質性が弾性波の伝播挙動に与える影響について検討する。ここでは、不均質性が及ぼす影響を明確にするため、マトリックスと粗骨材の組み合わせを弾性波速度の大きく異なる石膏とアルミニウム(以下アルミと略す)に置きかえ供試体を作製した。この供試体の伝播速度を測定した後、2次元FEMにより同様のモデルで解析を行い粗骨材の影響について検討した。
4.まとめ
 本研究では、コンクリートが持つ不均質性が弾性波に与える影響について、モデル実験およびFEMにより検討した。その結果をまとめると次の通りである。
(1)粗骨材比率が同一でも、粗骨材の配置、寸法、形状の影響を受けて、供試体および測定位置によって弾性波速度がばらつくことがわかった。また、粗骨材とマトリックスの間の弾性波透過率の減少が平均の弾性波速度の低下を招く原因となると考えられた。
(2)粗骨材とマトリックスの境界面で弾性波の一部が反射、散乱し、到達波は振幅が小さく継続時間の長いものに変化する。また、境界面を多く通過する波は、反射を繰り返すために減衰し受振子に到達しない可能性がある。このため、入力信号の大きさや受振側のしきい値のレベルによって、得られる弾性波速度は大きく変化する可能性があると考えられた。
(3)実験結果と解析結果は必ずしも一致しなかった。これは石膏とアルミの界面での付着が完全でなく、弾性波の透過率が解析と異なっているためではないかと思われる。逆にこのような解析と実際の差異が付着の程度と関連づけられれば、コンクリートの強度特性と何らかの関係があることも考えられ、今後の検討課題としたい。
PDFファイル名 016-01-1123.pdf


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