種別 論文
主題 塩害による鉄筋腐食の補修工法に関する研究
副題
筆頭著者 小泉徹(石川工業高等専門学校)
連名者1 高桑信一(石川工業高等専門学校)
連名者2 枷場重正(北陸建設)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 817
末尾ページ 822
年度 1994
要旨 1.はじめに
 今日、色々な方面でコンクリート構造物の劣化が問題となっているなかで、特に島国で海接地域の多い我国では、海からの塩分によるコンクリート構造物の塩害が生じている。石川県下の北陸自動車道においても海岸線に接近する区間が長く、また気象条件等の激しさなどから塩害による鉄筋コンクリート構造物の損傷が見られ、その対策工事が繰り返し行われている。
 一般的に塩害を受けた鉄筋コンクリート構造物の補修工事は劣化損傷部分の断面修復と表面被覆の組合せで行われている。このような組合せにおいても、塗膜などの被覆により、外部からの塩分侵入の遮断が確認されている補修済みの箇所で、再補修の必要性が生じた事例も報告されている。これらは補修前にコンクリート内部にすでに蓄積された塩分(以下蓄積塩分とする)による再損傷と考えられ、蓄積塩分を考慮した補修対策が必要であるといえる。
 蓄積塩分への対策のひとつとして亜硝酸塩系防錆剤の使用が考えられる。亜硝酸塩系防錆剤による補修工法に関する研究には、亜硝酸塩の水溶液をコンクリート表面から塗布含浸させたものや鉄筋腐食により生じたひびわれに低圧注入させたもの、亜硝酸塩含有モルタルによリコンクリート表面を被覆したものなどがある。いずれの場合にも鉄筋周辺に高濃度の亜硝酸塩を存在させうるかが重要な問題である。
 我々は蓄積塩分に対して、鉄筋の発錆を防ぐに必要とされる量の亜硝酸塩(亜硝酸リチウム)を含むポリマーセメントモルタルを鉄筋に巻き付ける(以下巻き付け工法とする)ことで、より高い防錆効果が期待されることを報告した。コンクリート構造物の塩害による損傷パターンとしては、図−1に示す損傷程度の軽微なものから、線状剥離、うろこ状剥離、面状剥離が考えられる。損傷程度が大きく鉄筋裏側まではつり、断面修復を行う場合には巻き付け工法が可能となる。しかし、軽微な損傷で、鉄筋裏側までのはつりを行わない場合には巻き付け工法は不可能であり、この場合には亜硝酸塩の浸透による防錆効果を期待して、亜硝酸塩を含むポリマーセメントモルタルで断面修復を行う(以下打設工法とする)補修が考えられる。
 本研究はポリマーセメントモルタルに含まれる亜硝酸塩濃度を変化させて、巻き付け工法と打設工法による防錆効果を比較検討するものである。
4.まとめ
 本研究はNO2-を使用して塩害を受けた鉄筋コンクリート構造物の有効な補修工法の開発を目的として行なわれたものであるが、本研究より得られた結果をまとめると、以下のとおりである。
(1)亜硝酸塩を含むポリマーセメントモルタル巻き付け工法は、防錆効果が高く補修工法として有効と考えられる、特にNaCl/モルタル=0.2%の場合はNO2-/Clモル比が0.3であっても防錆効果が認められる。
(2)亜硝酸塩を含むポリマーモルタル打設工法の防錆効果は巻き付け工法に劣り、同程度の効果を発揮させるにはより高濃度のN02-が必要である。
PDFファイル名 016-01-1135.pdf


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