種別 | 論文 |
主題 | 酸性雨環境下に屋外暴露したコンクリートの性質 |
副題 | |
筆頭著者 | 迫田恵三(東海大学) |
連名者1 | 天沼邦一(シンエイマスタ) |
連名者2 | 鈴木健弘(東洋インキ製造) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 1 |
先頭ページ | 913 |
末尾ページ | 918 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.まえがき 産業活動の活発化に伴い地域環境の汚染が問題となっている。そのうち大気汚染の指標の一つとされる酸性雨は森林破壊や湖沼のpH値の低下として深刻な社会問題となっている。我が国においても工業化や車の普及によって大気中の窒素酸化物や硫黄酸化物が増加し、その結果、全国的に酸性雨が観測されるようになった。酸性雨がコンクリート構造物に及ぼす影響についてはおもにコンクリートのひび割れに生じる「つらら」が注目されている。この「つらら」の成因については幾つかの研究によって明らかにされている。また、酸性雨がコンクリートに及ぼす影響については詳細な検討がなされている。しかし、酸性雨によるとみなされるコンクリート構造物の劣化が顕著に現れていないこともあってか、酸性雨がコンクリート構造物に及ぼす影響に関する研究はほとんど行われていないのが現状である。小林らが指摘しているように酸性雨によって構造物に劣化が進行していたとしてもその影響が顕在化するまでにはある程度の時間がかかることから、今の内から酸性雨に対する対策を講じる必要があり、そのためには屋外暴露実験や構造物の調査などを含めた研究が必要と考えられる。 本研究は以上の観点から酸性雨環境下の屋外にひび割れを有したコンクリート供試体や、酸性雨の浸透を防ぐために浸透性吸水防止材を塗布したコンクリートなどを3年間暴露した結果についての報告である。 4.結論 本研究は酸性雨環境下の屋外にひび割れを有する供試体や、吸水防止材を塗布した供試体を3年間暴露し、酸性雨がコンクリートに及ぼす影響について検討を行った。本研究で得られた結論は以下のようになる。 (1)3年間屋外に暴露したコンクリートの圧縮強度は雨水の浸透による水和作用の進行と、炭酸化によって4週強度より大きくなる。 (2)吸水防止材は酸性雨の浸透に対する抵抗性が大きく、石灰分の溶出を少なくできるが中性化抑制効果は薄い。 (3)酸性雨環境下に暴露したコンクリートの中性化速度は大きい。 (4)石灰岩を用いたコンクリートのひび割れ供試体より白色状の析出物が見られこの成分は同暴露地でのつららと同じ成分であることが確認された。 |
PDFファイル名 | 016-01-1151.pdf |