種別 | 論文 |
主題 | デサリネーションが鉄筋の付着挙動に与える影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 上田隆雄(京都大学大学院) |
連名者1 | 宮川豊章(京都大学) |
連名者2 | 藤井学(京都大学) |
連名者3 | 芦田公伸(電気化学工業) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 1 |
先頭ページ | 1007 |
末尾ページ | 1012 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに 中性化や塩化物により腐食劣化した鉄筋コンクリート構造物の補修工法として、最近注目を集めている手法が電気化学的手法を用いた補修方法である。デサリネーションはコンクリート中の塩化物の除去を目的とする電気化学的手法であり、現在代表的な電気化学的手法である電気防食の100倍近い電流を用いるものの、ある一定期間だけ通電すれば良いという特色を有している。 デサリネーションの原理を図1に示す。コンクリート中の鉄筋を陰極とし、コンクリート表面に設置した陽極との間に電流が流される。なお、陽極はチタンのメッシュが用いられることが多く、電解質を介してコンクリート表面に設置される。電流が流れるに従って、Cl-やOH-などの陰イオンは陽極に移動し、Na+やK+などの陽イオンは陰極に移動する。 本研究では、デサリネーションの問題点の一つである鉄筋とコンクリートとの付着挙動へのデサリネ−ションの影響に注目し、塩分を含んだコンクリートにデサリネーションを施した後、鉄筋近傍のセメントペーストの軟化状況を微小硬度計を用いて測定するとともに、片引試験を行い、通電による影響を検討することとした。また、Cl−、Na+、K+の分布についても若干の検討を併せて行うこととした。 3.結論 本実験結果をまとめると次のようになる。 1)デサリネーションは塩害補修工法として有効である可能性が高い。 2)付着強度の低下は演算電流密度によってほぼ評価が可能であり、この値によってその抑制が可能である。しかし、過大な通電となった場合(例えば、10000A・h/m2を越える通電)の影響を検討する必要がある。 通電停止後、コンクリート表面に移動していたCl-や、鉄筋近傍に集積していたアルカリ金属イオンは時間とともに拡散し、新たな平衡状態を形成するものと推定される。鉄筋近傍のNa+が通電停止後4ヶ月で半減している例も知られている。ある一定の最大付着強度比に抑える事のできる積算電流量の境界値に達する前に通電を停止し、アルカリの拡散を待って再度通電を開始すれば、付着は健全なままで塩化物を抽出でき、Cl-の再分布による腐食の再発も防げる可能性が高いものと考えられる。 |
PDFファイル名 | 016-01-1167.pdf |