種別 論文
主題 RC部材引張縁に接着された鋼板のはく離現象に関する研究
副題
筆頭著者 佐野正(東北大学大学院)
連名者1 三浦尚(東北大学)
連名者2 小俣富士夫(ショーボンド建設)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 1019
末尾ページ 1024
年度 1994
要旨 1.はじめに
 鋼板接着工法は、既設RC構造物の表面にエポキシ樹脂を用いて鋼板を接着し、部材断面内の鉄筋量の不足を外部から補おうとする工法である。わが国では道路橋RC床版の補強工法として発達してきたが、桁やはりを補強対象とした体系的な研究は少なく、補強効果や終局に至るまでの破壊現象等については不明な点が残されている。
 筆者らは、これまでにRCはり供試体に長さおよび厚さの異なる鋼板を接着し、曲げに対する補強効果や破壊現象を検討してきた。その結果、鋼板の接着長がスパンの95%と長い場合、鋼板を接着していない供試体と比較して曲げ剛性や降伏荷重、圧壊荷重が高まるといった補強効果が確認された。これに対し、鋼板の接着長がスパンの47%と短い場合、鋼板の端部付近ではく離を生じた。ただし、鋼板がはく離する以前においては曲げ剛性が高まるといった効果が認められ、十分な補強効果を発揮させるためには鋼板をはく離させないようにすることが重要であることが確認された。
 本研究は、このような鋼板のはく離を鋼板とコンクリートとの接着性に関する現象と考え、RC部材の引張部をモデル化したRC両引き供試体に長さ、幅の異なる鋼板を接着し、鋼板のはく離現象について検討したものである。
5.結論
 RC部材の引張部をモデル化したRC両引き供試体に長さおよび幅の異なる鋼坂を接着し、鋼板のはく離現象について検討を行った結果、以下の結論が得られた。
(1)鋼板のはく離形態には、樹脂とコンクリートとの界面でコンクリートがほぼ全面にわたって破壊する場合、部分的なコンクリートの破壊と鋼板と樹脂との界面はく離が混在する場合、接着面ほぼ全面にわたって鋼板と樹脂との界面はく離が生じる場合の3種類があった。
(2)せん断力を受ける場合、鋼板のはく離荷重には力の作用する方向が大きな影響を及ぼすと考えられる。結果のばらつきは実験中の引張力が作用する方向の誤差によって生じているものと思われ、この点に注意する必要がある。
(3)鋼板の接着幅が一定のとき、はく離時平均接着応力度は接着長や樹脂厚にかかわらずほぼ一定であった。また、接着幅が5cmで一定の場合、はく離荷重は接着長に比例して増加した。これに対し、接着長が一定の場合、はく離荷重は接着幅に比例して増加せず、はく離時平均接着応力度は鋼板幅と被着体であるコンクリートの幅が等しくなると低下した。これより、接着幅が広いときには、安全のために鋼板幅とコンクリート幅とが等しい場合の結果を用いるのが良いと思われる。
(4)鋼板のひずみ分布および接着応力度の分布傾向は、鋼板応力度が同一の場合、鋼板幅や樹脂厚が変化しても同様の傾向を示した。特に、樹脂厚については、今回の実験に用いた5mm〜10mmの範囲では、鋼板のひずみ分布や接着応力度の分布には影響を及ぼさないものと考えられる。
(5)樹脂層のせん断変形を考慮した応力解析により、鋼板のひずみ分布や接着応力度の分布傾向を推定できた。しかし、鋼板端部付近には実測値と大きな差を生じる範囲があり、これがはく離の原因になっているものと考えられ、今後の検討を要する。
PDFファイル名 016-01-1169.pdf


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