種別 | 論文 |
主題 | 繊維補強コンクリートの乾燥収縮ひび割れ |
副題 | |
筆頭著者 | 嵯峨山剛(大阪市立大学大学院) |
連名者1 | 眞嶋光保(大阪市立大学) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 1 |
先頭ページ | 1133 |
末尾ページ | 1138 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに プレーンコンクリートに繊維を分散混入させることにより、従来のコンクリートではみることのできなかった特性を引き出すことのできる繊維補強コンクリートが生まれた。織維補強コンクリートにみられる特長は主として以下の3点が挙げられる。 1)曲げ、引張強度の増加 2)じん性の改善 3)ひび割れの分散 このような繊維補強コンクリートの補強材として用いられている繊維は鋼、ガラス、炭素および合成繊維である。これらのうち鋼繊維補強コンクリートは既に道路舗装、空港舗装、大地下空間の施工などに用いられている。一方、ガラス・炭素繊維は主として薄板材として建築用の非構造材料として使われている。しかしながら、合成繊維は先の繊維に比べると実用化の域に達しているとはいえない。 このような種々の繊維補強コンクリートの力学的性質に関する研究は過去にも例があり、その優位性は認められている。しかし構造材料として適用するには長期における供用性を調べておく必要があり、本研究ではその中の1つとして乾燥収縮ひび割れを取り上げている。コンクリート構造物のひび割れは、乾燥収縮が原因で発生するものが多く、荷重によって生じるものや温度変化によって生じるものなどに比べると、コンクリートの品質に直接関係するところが大きいとされている。そこで、本研究では鋼およびアラミド繊維補強コンクリートについて実験を行い、乾燥収縮ひび割れ特性を比較した。 4.まとめ 本研究では「コンクリートの乾操収縮ひび割れ試験方法(案)」(JIS原案)に準じて、プレーンコンクリートと2種の繊維補強コンクリートについて実験を行った。プレーンコンクリートと繊維補強コンクリートの間には乾燥収縮ひずみおよびひび割れ幅に相違が認められた。しかし、ひび割れ発生日数については拘束引張ひずみが両者間で同程度となることにより、明確な相違は認められなかった。本研究で得られた結果をまとめると以下のようになる。 (1)自由収縮および拘束収縮ひずみは、繊維による拘束効果によりプレーンコンクリートに比べて繊維補強コンクリートの方が小さい。 (2)拘束引張ひずみはプレーンコンクリートと繊維補強コンクリートで大きな相違はない。またそのひずみから算出したコンクリート応力は、ひび割れ時における割裂引張強度とよく対応している。 (3)拘束板のひずみによると繊維補強コンクリートではプレーンコンクリートにみられるようなひび割れ後の応力解放が認められなかった。 (4)ひび割れ発生日数はプレーンコンクリートと繊維補強コンクリートでは大きな相違はないが、繊維補強コンクリートではひび割れが貫通するまでに更に日数を要する。 (5)繊維補強コンクリートではひび割れ位置で繊維への応力伝達が働き、ひび割れの蛇行と分散が認められ、ひび割れ幅の抑制効果があると思われる。 |
PDFファイル名 | 016-01-1189.pdf |