種別 | 論文 |
主題 | 二段配筋の内側主筋位置における付着割裂破壊 |
副題 | |
筆頭著者 | 對比地健一(明治大学大学院) |
連名者1 | 川村厚司(大成建設) |
連名者2 | 高木仁之(明治大学) |
連名者3 | 狩野芳一(明治大学) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 2 |
先頭ページ | 241 |
末尾ページ | 246 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.本研究の背景と目的 耐震設計の合理化のために高配筋、高強度主筋などの利用が目指されるようになり、異形鉄筋の周辺で生じる付着割裂破壊の問題が一層重要となった。本研究は、主筋が二段配筋された場合の内側主筋位置で生ずる付着割裂の強度を明らかにしようとするものである。 主筋が一段に配置された場合の付着割裂強度については、藤井・森田その他による多くの研究成果があるが、二段配筋の場合についてはまだ満足な結果は得られていない。松原らは、梁の実験を行い、二段配筋の付着割裂破壊には外側主筋位置で生じるものと内側主筋位置で生じるものとがあり、外側主筋位置での付着割裂強度はほぼ藤井・森田式で扱えるが、内側主筋位置で付着割裂破壊が生じる場合、その強度は藤井・森田式に比べ極めて低く、両者は区別して扱う必要があることを指摘した。これらの結論は、大屋戸らの研究によっても裏付けられており、大屋戸らは、二段目主筋の付着強度は最大でτco(藤井・森田式で無補強のときの強度)程度までしか保ち得ないとしている。 筆者らは、片持ち梁形式試験法を用いて、二段配筋の内側主筋の付着割裂強度に及ぼす要因について検討してきたが、川村らは以下のことを明らかにした。 (1)横補強筋のない場合、内側主筋のみに加力したときの付着割裂強度は藤井・森田式による算定式とほぼ一致する。 (2)外側主筋を囲むように横補強筋を配置すると、補強筋が内側主筋の付着割裂強度を増加する効果は外側主筋に対する効果より大きいが、補強筋の効果は外側主筋の引張力が大きい程低下し、一般には内側主筋の付着割裂耐力は外側主筋の場合より低くなる。 (3)内側主筋の付着割裂強度がひび割れ強度も終局強度も藤井・森田式に比べて著しく低いのは、外側主筋の引張力によって内側主筋割裂面に生ずるせん断応力の影響と考えられる。 これらの知見に基づき、本論文では更に実験結果をつけ加えて総合的な検討を行い、二段配筋の内側主筋の付着割裂強度を推定する実験式を提案し、梁形式試験の場合も含めてその適合性を検証するものである。 8.結論 (1)内側主筋の付着割裂強度は、外側主筋引張力により内側主筋割裂面に作用するせん断力の影響により大幅に低下すること、及び補強筋の効果も外側主筋と異なることを確認した。 (2)内側主筋位置でのひび割れ発生時の条件を整理し、実験結果によって係数を定めて、無補強試験体の二段配筋内側主筋位置での付着割裂強度算定式を導き出した。 (3)二段配筋の内側主筋付着割裂強度を外側主筋引張力による作用せん断応力と補強筋量等を指標として定式化し、実験式が梁形式実験を含めて既往の実験結果とよく適合することを確認した。 |
PDFファイル名 | 016-01-2039.pdf |