種別 | 論文 |
主題 | 格子モデルによるRCはりのせん断性状の解析的評価 |
副題 | |
筆頭著者 | 崔益暢(名古屋大学大学院) |
連名者1 | 二羽淳一郎(名古屋大学) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 2 |
先頭ページ | 563 |
末尾ページ | 568 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに 鉄筋コンクリート部材のせん断耐荷機構に関する研究は近年もなお精力的に行われている。トラス理論系や塑性理論系のマクロモデルによる耐荷機構の提案、非線形の有限要素法を適用した数値解析手法、設計への適用を念頭においたストラット・タイモデル等、数多くの考え方が提案されてきており、各種の設計コードに反映されている。また、せん断補強のない場合に対しては実験式の提案や破壊力学の適用も行われてきている。現在、土木学会のコンクリート標準示方書には、せん断補強された鉄筋コンクリート棒部材のせん断耐荷力の算定方法として、修正トラス理論に基づく設計方法が規定されている。この方法は既往の実績に裏付けられており、半理論式ではあるが、適用範囲を逸脱しなければ、妥当なものであると判断されている。 しかしながら、連続繊維補強材の出現は、この状況に大いなる問題点を投げかけている。すなわち、弾性状態から直ちに破断に至り、塑性状態を示さない連続繊維補強材に対しては、せん断補強筋の降伏時耐力Vsとコンクリート貢献分Vcを重ね合わせる修正トラス理論の考え方がそのままでは適用できないのである。どのような補強材を用いた場合でも統一的に適用可能な設計耐荷力の算定方法を規定する前提として、現象を適切に表現しうる耐荷機構モデルを提示することが求められている。 このための一つの方法は有限要素法によるものである。佐藤らは、非線形FEMの計算結果に基づき、コンクリートとせん断補強筋のせん断力の分担率の変化、補強筋の剛性変化の影響等を詳細に検討した結果を報告している。しかしながら、連続体としてモデル化したコンクリート中の力の流れを離散的に処理して、耐荷機構モデルに結びつけていくことにはかなりの困難を伴うものと予想される。 Schlaichらの提案するストラット・タイモデルは、支点付近やディープビーム等の不連続領域の設計に適用することを念頭に置いたものであるが、部材をストラットとタイに離散化しているので、力の流れが限定され、取り扱いが容易である。 以上を勘案し、本研究では、処理が容易で、現象を明快に説明するという要件を満たすものとして、コンクリート部材を格子状のトラスの集合体にモデル化する手法を検討した。 4.結論 本研究は、せん断補強されたコンクリート部材を、格子状のトラスとアーチの集合体にモデル化し、材料の非線形性を考慮した増分解析により、部材内部での力の分担を明らかにしたものである。また、せん断補強量の変化や使用する材料の相違により、せん断耐荷力がどのように変化するかについても解析的な検討を行った。得られた結論は以下の通りである。 (1)ここに示した格子モデルは比較的簡単な非線形解析手法であるが、作用せん断力と変位の関係、せん断耐荷力等を妥当に表現することができる。 (2)修正トラス理論によるせん断耐荷力の評価は一般には安全側となるが、せん断補強量によって安全性のマージンが著しく変化していく。 (3)剛性の低い連続繊維補強材をせん断補強に使用した場合で、補強材が破断に至らない場合は剛性の低下に伴って、せん断耐荷力が低下していく。 なお、本モデルは、軸方向力が作用する場合にも拡張可能であり、今後この方向での検討も進めていく予定である。 |
PDFファイル名 | 016-01-2093.pdf |