種別 | 論文 |
主題 | RC造内柱・梁部分架構における梁部材の降伏変形の評価 |
副題 | |
筆頭著者 | 寺岡勝(フジタ) |
連名者1 | 狩野芳一(明治大学) |
連名者2 | 佐々木聡(フジタ) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 2 |
先頭ページ | 723 |
末尾ページ | 728 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに 梁降伏型のRC構造骨組の耐震性能評価には、梁部材の降伏変形を精度よく推定することが重要な課題の一つであろう。梁部材の変形を精度よく推定するためには、(1)梁理論による部材の曲げおよびせん断変形、(2)接合部からの主筋の抜け出しによる付加変形、および(3)部材端部に発生する曲げせん断とせん断の斜めひび割れに伴う主筋ひずみ度の曲げ解析値からのシフトによる付加変形、などを考慮することが必要であると思われる。 従来、RC造骨組の耐震設計において、梁部材の降伏変形の推定には、多数の梁および柱部材の実験データを回帰分析して得られた簡便で実用性に優れる菅野式が多用されてきた。この式により求めた降伏変形には、結果的に上記の(1)および(3)が含まれている他に、試験体により異なる加力スタブからの主筋の抜け出しによる付加変形が曖昧なままで含まれていると考えられ問題がある。また、近年開発・実用化が進んでいる高強度材料は、適用範囲外である。 一方、森田・角は、内柱・梁接合部を通し配筋された梁主筋の抜け出しによる付加変形が比較的多いことを指摘すると共に、実験データを基に接合部内主筋の平均付着応力度(τav)-梁端引張ひずみ度(εst)関係をモデル化して上記(2)の付加変形を求め、それに梁理論による曲げ変形を加えることによる梁変形推定法を示した。また、北山は、森田・角の方法に準じて梁降伏時変形を評価するために、独自に梁降伏時のτavの推定式を求め、矩形断面梁のみならずT形断面梁への適用を試みた。これらの研究では、τavが限られた実験データから求められているために適用範囲が比較的限られると考えられる。また、上記(3)を考慮していないためか梁降伏時変形推定値は、実験値に比べて小さめとなっている。 本研究では、以上の諸点を考慮し、比較的多くの内柱・梁部分架構の実験データを基に、上記(1)、(2)および(3)を考慮した梁部材の降伏時変形推定法について検討する。 4.まとめ RC造内柱・梁部分架構における梁部材の降伏時変形について検討した結果、以下の知見が得られた。 (1)梁主筋降伏時迄の接合部内梁主筋平均付着応力度(τav)-梁端引張ひずみ度(εst)関係は、梁主筋径/柱成、コンクリート圧縮強度、軸圧比、および梁の上、下曲げ引張鉄筋量の比を考慮することで概ね追跡でき、得られたτav-εst関係を用いて梁降伏時迄の梁主筋の接合部からの抜け出し量が比較的精度良く評価できた。 (2)梁降伏時の梁変形は、1)初等梁理論による梁部材の曲げとせん断との変形、2)梁主筋の接合部からの抜け出しによる付加変形、3)部材端部に発生する斜めひび割れに伴う梁主筋の曲げ解析値からのシフトによる付加変形、を考慮することで概ね評価できた。従って、上記の梁部材の降伏時変形の推定法はほぼ妥当であると言えよう。尚、梁変形に占める上記の3つの変形成分比は、本検討対象試験体の平均値では、1)が約50%、2)が約30%、3)が約20%であった。 |
PDFファイル名 | 016-01-2120.pdf |