種別 論文
主題 吊床版橋の力学特性に及ぼす取付部の構造形式の影響
副題
筆頭著者 中沢隆雄(宮崎大学)
連名者1 今井富士夫(宮崎大学)
連名者2 赤木正見(宮崎大学)
連名者3 前田文男(ピー・エス)
連名者4
連名者5
キーワード
16
2
先頭ページ 997
末尾ページ 1002
年度 1994
要旨 1.はじめに
わが国の吊床版橋は1969年に大阪万国博9号橋が竣工して以来、施工実績も増加し、最近では吊支間が100mを越える橋も建設されている。また、最近の施工例では伸縮装置や支承がなく、維持管理上好ましい構造として床版を橋台と剛結合したものも多く見られるようになってきた。
吊床板橋は支間に対して床版が薄く、曲げ剛性よりも軸剛性が卓越する柔構造となり、このような構造には幾何学的非線形を考慮した解析法が必要となる。ケーブル理論はその種の簡便手法であり、吊床版橋の設計にもよく利用されているが、端部が剛結された吊床板橋へのケーブル理論の適用を検討した報告は、著者らの知る限り1例のみのようである。
そこで、本論文では端部が剛結合された吊床版橋の力学特性を明きらかにする目的で、ピン結合された吊床版橋との比較・検討を行うとともに、解析で得られた結果から剛結構造へのケーブル理論の適用も検討している。なお、解析には有限変位理論を用い、解析因子にはサグに対するスパンの比を選んだ。
5.まとめ
最近の吊床版橋に床版と橋台との取付部が剛に結合されたものが使用されてきている。本論文は、従来のピン結合された吊床版橋と剛結されたものとの力学特性を明確にする目的で、有限変位理論を用いてスパン/サグ比を解析因子とするパラメトリック解析を行った結果について報告したものである。さらに、このような剛結構造に対するケーブル理論の適用性についても検討を行っている。ここで得られた結果を要約すると、以下のようになる。
(1)半載荷重のたわみ性状から、スパン/サグ比は30〜50が適当と思われる。
(2)スパン/サグ比が大きくなると、水平反力の増分は小さくなるが、結合法の違いによる差は拡大する。
(3)結合法の違いによっては端部曲げモーメントの大きさは数倍となる。
(4)端部の結合法をピン結から剛結としても、水平反力やたわみに差異はそれほど生じないことや端部に大きな曲げモーメントが発生することなど、力学的な優位性はそれほど認められないように思われる。
(5)変断面剛結の吊床版橋へのケーブル理論の適用には、有効支間長やスパン/サグ比の検討が必要と思われる。
なお、本橋の解析モデルとなった吊床版橋には図-1に示すように両橋台間に高低差がついている。ここで紹介した結果は高低差のない場合について解析を行ったものであるが、この高低差を10mまで変化させて解析を行ったところ、静的な解析結果には高低差の影響はほとんど見受けられなかった。
PDFファイル名 016-01-2166.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る