種別 論文
主題 外ケーブル構造の曲げ終局耐力に関する一考察
副題
筆頭著者 若林登(首都高速道路公団)
連名者1 沼田昌一郎(首都高速道路公団)
連名者2 一桝久允(首都高速道路公団)
連名者3 玉置一清(プレストレストコンクリート建設業協会)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 1021
末尾ページ 1026
年度 1994
要旨 1.まえがき
一般に、外ケーブル構造の曲げ終局耐力は、ボンドケーブル構造と比較して小さくなることが知られている。外ケーブル構造では、ケーブルに付着がないために、PC鋼材ひずみはPC鋼材位置のコンクリートひずみと一致せず、断面における平面保持の仮定が成立しない。そのため、ボンドケーブル構造において適用されてきた曲げ終局耐力算定法をそのまま適用することはできない。
道路橋示方書及びコンクリート標準示方書では、アンボンドケーブル構造はボンドケーブル構造に対して30%の曲げ終局耐力低減が規定されている。また、PE/SETRA(フランス)、国内の鉄道構造物等設計標準では曲げ終局耐力算定において、外ケーブル緊張力を外力として評価するとある。
曲げ終局耐力算定において最も重要となるのは、PC鋼材ひずみ増加量の評価である。このPC鋼材ひずみ増加量の理論的算定手法として、六車らによって提案されている部材長方向の変形適合条件を用いた精算法が、外ケーブル、アンボンドケーブル構造の実験桁において広く用いられ、その良好な精度が認められている。
本研究では、この部材長方向の変形適合条件を基に、外ケーブル構造の曲げ終局耐力低下メカニズムの解明を行い、それらをスパン10mのT桁模型実験により検証を行った。
4.まとめ
T桁模型による実験値と、各計算値との比較を表3に示す。
外ケーブルを外力扱いした計算値Cは最も安全側の評価となり、実験値に対しても70%程度の値となる。計算Cにおける終局モーメント計算値は、PC鋼材を外力とみなすために、PC鋼材断面積には依存せず、初期導入張力量によって大きく変化する。仮に、PC綱材の初期導入張力を0.6Puとした計算値CはMu=59.7tf・mとなり、計算値Bとほぼ一致する。(計算A及びBにおいては、一般的に、PC鋼材は完全に降伏するという条件で設計されるために、初期導入張力量(初期導入応力比)によって終局モーメント計算値は変化しない。)道路橋示方書等で規定される計算BとSETRA等で規定される計算Cは、一般的なPC橋の設計の範囲では、ほぼ同程度の評価になるものと考えられる。
実験値と、ボンドケーブル構造と仮定した計算値Aとの比は0.79であり、道路橋示方書等において、外ケーブル構造の曲げ終局耐力をボンドケーブル構造の0.7倍とする計算Bは、まずまずの妥当性を示す。
アンボンドケーブル構造と仮定した精算法による計算値Dは、実験値に対して1.17倍と若干危険側の評価となるが、PC鋼材の偏心量の減少を考慮して補正を行った計算値Eは実験値とよく合致しており、外ケーブル構造の曲げ終局耐力算定において最も精度の良い算定法であると考えられる。
以下に、部材長方向の変形適合条件を用いた精算法によって得られた、外ケーブル構造の曲げ終局耐力メカニズムについての知見を要約する。
1)部材長方向の変形適合条件を用いた解析により、ケーブルに付着がないことによる曲げ終局耐力の低下を評価することが可能である。
(1)部材長方向変形の適合条件から、外ケーブル構造のコンクリートひずみの卓越することが説明でき、桁上縁のコンクリート圧壊が先行する為に曲げ耐力が低下するものと考えられる。
(2)ボンドケーブル構造がUuder-Reinforce型の破壊となるのに対し、同一鋼材量であっても外ケーブル構造ではOver-Reinforce型となる場合がある。
(3)外ケーブルの張力増加は、同一モーメントで比較するならば、ボンドケーブルのものと等しい。しかし、各々の終局モーメント時で比較するならば、Over-Reinforce型となる外ケーブルのひずみが極めて小さくなるのは当然である。
2)アンボンドケーブル構造による曲げ終局耐力計算値(精算法)に対して、デビエータ間に生じる偏心量の変化による補正を考慮することにより、外ケーブル構造の曲げ終局耐力は精度良く算定することが可能である。
PDFファイル名 016-01-2170.pdf


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