種別 論文
主題 PC桁の衝撃変形挙動におよぼす緊張材の特性と配置位置の影響
副題
筆頭著者 中島規道(三井建設)
連名者1 三上浩(三井建設)
連名者2 岸徳光(三井建設)
連名者3 松岡健一(室蘭工業大学)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 1111
末尾ページ 1116
年度 1994
要旨 1.はじめに
近年、各種の連続繊維補強材(FRPロッド)をコンクリートの補強材として用いる研究が盛んに行われている。FRPロッドのヤング係数は鋼材と比較して小さいため、特にプレストレストコンクリートの緊張材の代替として用いられることか多く、一部においては実構造物にも適用されている。FRPロッドは軽量かつ高引張強度を有し、耐蝕牲に優れ、非帯磁性であるなど従来のPC鋼材にない優れた特質を有している。また、高い弾性伸び率を有し、降伏点を有しないことは、衝撃力を受けるコンクリートの補強材として有利な特質であると考えられる。しかし、FRPロッドを補強材として用いたコンクリート部材の衝撃挙動に関する研究例は著者らの例以外には極めて少ないのが現状である。一方、従来のPC鋼材を用いた部材の衝撃挙動に関する研究例も少なく、衝撃挙動におよぼすプレストレスの影響はまだ十分には明らかとなっていない。著者らのAFRPロッドを緊張材に用いたPC桁の衝撃挙動に関する研究結果から、緊張材の配置位置はPC桁の衝撃挙動に大きな影響を与え、上下核点に緊張材を配置した桁が総合的にみて最も優れた耐衝撃性を示すことか明らかになっている。
本研究では、各種PC桁の衝撃挙動を明らかにするために、アラミド繊維を用いた組紐状FRP(AFRP)ロッドおよびPC鋼より線を緊張材に用いたPC桁を製作して重錘落下衝撃試験を行い、PC桁の衝撃挙動におよぼすプレストレスの影響についての検討を行なった。衝撃挙動におよぼすプレストレスの影響因子として、緊張材の材質、導入プレストレス量、緊張材の配置位置などが考えられるが、本研究では緊張材の材質のほか、総プレストレス量(断面中心でのプレストレス応力)を一定として緊張材位置を変化させた実験を行い、各々がPC桁の耐衝撃挙動に与える影響を検討した。
4.まとめ
PC桁の重錘落下衝撃試験を行い、耐衝撃性状におよぼす緊張材の材質および配置位置の影響を検討した。本実験の範囲内で得られた結果を要約すると、
(1)いずれの緊張材を用いても、下向きの最大応答変位量は上下の核点に緊張材を配置したCタイプで最も大きく、C>B>Aである。一方、リバウンドによる上向きの最大応答変位量は断面下縁近傍に緊張材を配置したA桁で最も大きく、下向き変位とは逆にA>B>Cである。
(2)最大応答変位量は剛性の小さいAFRPロッドを緊張材に用いた桁がPC鋼より線を用いた桁よりも大きい。一方、載荷初期における応答変位波形の主波動の継続時間はAFRPロッドを用いた桁の方が長い。
(3)残留変位の方向は緊張材の配置位置の影響を受け、その傾向は剛性の高い緊張材を用いた場合に顕著であり、残留変位は剛性が高いほど大きい。
(4)断面下縁近傍に緊張材を配置したAタイプの桁は、リバウンドによる上面からのひびわれが多く、また、低い載荷速度から載荷点直下近傍に斜めひびわれか発生しやすい。
(5)斜めひびわれの発生角度はAが最も緩く、Cが最も鉛直に近い。
(6)重錘衝撃力および支点反力の大きさは緊張材の剛性の影響を受け、緊張材の剛性が低いほど小さい。
(7)PC桁の耐衝撃性の観点から総合的に判断すると、緊張材の配置位置としては断面の上下核点が優れ、緊張材の特性は剛性が低く弾性伸び量の大きなものが優れていると考えられる。
PDFファイル名 016-01-2185.pdf


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