種別 | 論文 |
主題 | プレストレスト鋼板・コンクリート合成版の2方向クリープ挙動 |
副題 | |
筆頭著者 | 新西成男(九州大学大学院) |
連名者1 | 太田俊昭(九州大学) |
連名者2 | 日野伸一(九州大学) |
連名者3 | 河野伸征(九州大学大学院) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 2 |
先頭ページ | 1159 |
末尾ページ | 1164 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに 近年、既設道路橋における鉄筋コンクリート床版の損傷に伴い、床版死荷重の軽減や現場施工の省力化などの必要性が考慮され、型枠兼用の薄鋼板上にコンクリートを打設、一体化した鋼板・コンクリート合成版の有用性が認識されるようになった。この鋼板・コンクリート合成版は、施工性及び構造上の種々の利点から、橋梁および建築構造物などに広く利用され、また最近では、海洋構造物などへの適用も試みられている。しかし、この種の合成版は、設計上、ひび割れを許容するRC構造であるためコンクリートのひび割れ発生に伴う剛性の低下、鋼板内面の腐食による耐久性の劣化などに問題を残している。一方、構造物の長大化とプレストレス化が進む中、より軽量で高強度、高剛性を有する合成構造部材などの新しい構造材の開発も切望されている。 このような背景をもとに、本研究は、型枠と引張鋼材を兼ねる鋼板をさらに2方向緊張材としても活用することにより、鋼板・コンクリート合成版のプレストレス化を試みるものである。著者らは、先にプレストレスト合成版の製作用2方向緊張装置の概要と、1方向にプレストレスを導入した合成はり供試体による実験および解析的研究について報告した。本論文は、2方向にプレストレスが導入された鋼板・コンクリート合成版のクリープ性状を明らかにすることを目的として、2方向プレストレス導入・クリープ試験と1方向クリープ解析法を拡張適用した2方向クリープ解析を行い、それらの結果について検討したものである。 5.まとめ 本研究は、型枠と引張材を兼ねる底鋼板とコンクリートを一体化した鋼板・コンクリート合成版に対し、2方向プレストレス導入試験およびクリープ試験を行い、クリープ性状およびプレストレス損失について、実験的、解析的検討を行ったものである。本研究により得られた結果をまとめると次のとおりである。 (1)本合成版において、鋼板(SS400)および鉄筋(SD295)の初期引張応力レベルが降伏点応力度以下の緊張で、導入直後に主軸方向240kgf/cm2、主軸直角方向50kgf/cm2程度の2方向プレストレス導入が可能である。 (2)2方向にプレストレスが導入された合成版における主軸方向のクリープひずみおよび導入プレストレスの経時変化は、1方向に導入された合成版のそれに比べ、顕著な差異は認められない。 (3)また、プレストレス導入後150日における有効プレストレスの減少量は、20%(1方向)〜30%(2方向)である。 (4)2方向にプレストレス導入された合成版のクリープ挙動は、各方向のコンクリートのクリープが各々独立的に進行するという仮定に基づき、既往のTrost式による解析法を拡張・適用することによって簡易かつ比較的精度よく追跡できる。 |
PDFファイル名 | 016-01-2193.pdf |