種別 論文
主題 鉄筋コンクリートせん断面降伏条件による鉄筋コンクリート造耐震壁の離散化極限解析
副題
筆頭著者 上原修一(有明高等専門学校)
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連名者5
キーワード
16
2
先頭ページ 1337
末尾ページ 1342
年度 1994
要旨 1.はじめに
抵抗機構あるいは破壊機構の理解のための理論的な極限解析法とは別に、コンピュータの使用を前提とした極限解析法として、川井は、剛体ばねモデルを用いた離散化極限解析法を提案した。さらに、上田らは、この剛体ばねモデルを使った、鉄筋コンクリート(以下RCと略する)部材の非線形解析についての研究を行い、強度のみならず変形性状もよくとらえることができると報告している。この解析において、上田らは、実現象をできるだけ忠実に再現する目的から、コンクリートの破壊に伴う応力解放を導入するなど、複雑な解析アルゴリズムを提案している。また、コンクリートの引張強度を解放した解析では、極限解析の上界定理でいう最小値、つまり最良の上界の解が得られず、最良の上界解を得るためには、引張り強度を保持することが必要であることを明らかにしている。つまり、本来上界の解を得ることができる剛体ばねモデルによる解析法は、応力解放を導入した場合、もはや上界の解を得る極限解析法とは位置付けられないことになる。
さて、理論的な極限解析法がRC部材のせん断破壊解析に適用されている状況を考えた時、応力解放を考慮しない、本来の離散化極限解析法により、どの程度RC部材のせん断破壊挙動を追跡できるのかについて検討することは意義があると考えられる。例えば、このような簡潔な離散化極限解析法を確立すれば、RC構造物の設計において、有限要素法解析から得られる下界の解と対をなす上界の解、および破壊メカニズムを与える簡便な解析プログラムの開発への展開が考えられる。また、RC部材の破壊機構理解のための上界的マクロモデルの構築につながるとも期待される。
このようなことを考慮し、本研究では、まずRC面部材におけるRC要素の接合面、つまりRCせん断面の降伏条件を、コンクリートと鉄筋を累加した形式でまとめ、さらにそれを近似曲線により簡略化する。次に、それを用いて、応力解放を考慮しない、本来の離散化極限解析法により耐震壁を解析し、簡略化した本手法の実験現象への追随性を検証する。
4.結論
RCせん断面の降伏条件を鉄筋とコンクリートを累加した形式で表わし、それを楕円で近似し簡略化することを提案した。さらに、通常の鉄筋量では、楕円でほぼ近似可能であることを確認し、その近似した降伏曲線を用いて、耐震壁の離散化極限解析を試みた。その結果、かなり簡略化した解析法にもかかわらず、ほぼ実験と同様の結果を得た。しかしながら、荷重-変形関係において、実験での最大荷重近傍で、解析においても降伏の性状を示したが、明確に不安定とはならなかった。
PDFファイル名 016-01-2223.pdf


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