要旨 |
近年になって開発・実用化された高強度・超高強度コンクリート、水中不分離性コンクリート、高流動コンクリートなどは、フレッシュ状態における性状が従来のコンクリートの範囲を大きく逸脱しており、その材料性質を力学的な立場から評価しようとするレオロジー的な研究が関心を集めている。普通コンクリートから、流動化コンクリート、各種繊維補強コンクリートなどの特殊なコンクリートも含めて、あらゆるフレッシュコンクリートの力学性状を統一的に表現することができる力学モデルを構築することが、レオロジー的研究の主目的であるが、これを実現するためには、これまで行われてきた各種実験による膨大な実測データを整理・分析し、また、解析的・理論的な観点からの検討を行う必要がある。本研究委員会では、これまで、各分野で独自に進められてきたレオロジー的な研究を収集し、現在までに得られている知見を、フレッシュコンクリートの力学モデル(構成則)とそれを入力とした流動解析技術の立場から整理を行った。1)レオロジーモデルWG(主査:森博嗣):実測データおよび試験方法の整理を行い、各種フレッシュコンクリートに適用しうるレオロジーモデルを構築するための基礎情報と、レオロジー定数の影響要因の整理、および測定手法の検討などを行うことを目的とする。2)流動解析WG(主査:橋本親典):現行の流動解析技術を、理論解析及び数値解析の両側面から整理し、各種試験方法のシミュレーション、各種施工条件下におけるワーカビリティー予測などを通して、レオロジー性質が実施工面に与える影響を解析的に明らかにする技術の可能性を検討することを目的とする。これらの研究活動の成果は、委員会報告として取りまとめられ、1996年4月23日に開催された「フレッシュコンクリートの流動性と施工性」に関するシンポジウムで公表している。本稿では、以下に、それらの概要について述べる。 |