種別 論文
主題 新型応力計について
副題
筆頭著者 田沢栄一(大成建設)
連名者1 飯田一彦(大成建設)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
2
先頭ページ 117
末尾ページ 120
年度 1980
要旨 1.まえがき
 従来、コンクリートの内部応力はひずみの計測値に弾性係数を乗ずることによって求められて来た。この方法では、コンクリートの弾性係数を正確に知ることが前提となる。しかし、一般にコンクリートの弾性係数が材令と共に大きく変化すること、クリープひずみと弾性ひずみの分離が困難なこと、含水状態の変化によっても弾性係数が変ること、計測対象物の弾性係数を現位置で測定する適当な方法がないこと、などの理由により、弾性係数の設定には精度上の限界があり、応力の推定も当然の事ながらこの精度にしばられてきた。また、乾燥収縮や温度変化に伴なう変形が拘束された時に生ずる応力に対しては、上記の応力測定法は原理的に適用が困難であった。そのためコンクリートの内部応力を直接計測することを目的とした有効応力計が種々考案され、一部で試用されて来た。液体密封方式の有効応力計は引張応力の計測に問題があり、計器の寸法や取扱いの煩雑さに欠点があった。これに替って小型のロードセルを内蔵する型式のものが一部で市販されているが、その精度については一般に認められていないのが現状である。本報告はロードセル型式の有効応力計について、従来型と改良型とを比較し、無筋コンクリートの乾燥収縮応力の実測によって、改良型の精度が優れていることを示す。
5.結言
 (1)従来型の有効応力計は図−3、4、5の比較から明らかなように乾燥収縮応力の測定には適していない。改良型I型、II型の測定値はよく傾向が似ており、ゲージ構造を変化させた効果が顕著に認められる。ただし改良型についても、乾燥初期における表面位置のゲージの挙動、長期にわたる計測精度など、今後になお若干の検討を要する。(2)無筋コンクリートについても、内部と外部の乾燥の相違により、かなり大きな元応力が生じている。図−4、5の実測結果から、20cm厚の部材について乾操材令8日までに約±15kg/cm2の応力が生じた。(3)乾燥収縮ひずみは表面から内部に、単純な分布を示すのではなく、図−6に実線で示したように表面からある深さの位置で最大となる。応力計の値から弾性もどりを計算すると仮想点は従来から指摘されていた分布に近い形状を示す。(4)(3)の実験事実から、乾燥によって生ずるコンクリートの実際のひずみ分布は、断面全体の応力の釣合いで定まってくるものと考えられる。したがって、断面内の位置によっては、弾性的に貯えられているひずみが存在する。鉄筋などの補強材が乾燥収縮の拘束に及ばす影響を考慮する際には、収縮ひずみの弾性成分・非弾性成分を考慮する必要が生じて来よう。コンクリートの形状や乾燥の条件との関係もあり、極めて複雑である。
PDFファイル名 002-01-0030.pdf


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