種別 委員会報告
主題 コンクリート構造物の構造・耐久設計境界問題研究委員会報告
副題
筆頭著者 梅原秀哲(名古屋工業大学)
連名者1
連名者2
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 19
末尾ページ 28
年度 1998
要旨 コンクリート構造物の設計は、安全性や耐久性の確保を目的として行われる。このうち構造安全設計は、構造材料が所定の性能を有するという前提の下でほぼ体系的に確立されている。しかし、コンクリートの耐久性については、膨大な研究が行われているにも拘わらず、設計全体の中での位置づけなどが明確にされてこなかったために、研究成果が設計レベルまで一般化されることが少なかったようである。本来、設計は、構造物に想定される耐用期間にわたって所定の性能が達成されることを確実にするための手段であり、この目的のためには、構造設計と耐久設計が合理的に統合された設計体系、すなわち性能評価型統合設計を確立することが必須である。現在、構造物の設計法がISOなどに見られるように、世界的に仕様規定型から性能評価型に移行する気運にある。日本でも建築基準法や土木学会コンクリート標準示方書が性能評価型に移行する予定である。本委員会は、このような背景の中で平成7年に設置され、コンクリート構造物の構造設計と耐久設計の統合に向けて、2年間調査研究活動を進めてきた。その内容は多岐にわたり、既往の設計法における境界問題の現状、およびコンクリートの耐久性に関する研究の現状について整理すると共に、構造設計と耐久設計を統合した設計の枠組みを提案し、それらに基づく設計例を示した。ここで提案した設計法の枠組みは、性能設計(Performance-Based Design)の概念を、コンクリート構造物を対象に、多くの試行錯誤を繰り返しながら具現化したものである。本研究委員会では、現行の構造・耐久設計とそれらを支える技術の現状を明らかにするとともに、コンクリート構造物の設計のあるべき姿の観点から新しい統合設計の枠組みを構築した。ここで提案した設計の枠組みの特徴をまとめると以下のとおりである。(1)基本的な設計概念は「性能評価で」ある。(2)構造物の挙動をあるがままに把握することを最終的なゴールとする。(3)将来開発される技術が無理なく設計に組み込めること、すなわち技術の発展レベルに応じた合理的な設計を可能にする。(4)安全性と耐久性が合理的に組み込まれていること、すなわち統合設計である。構造物の設計を要求される性能に基づいて行なおうとする概念は、必ずしも新しい考え方ではなく、基本的にこれが設計の原点であったはずである。ところが、技術の未成熟と効率性の要請から見なし規定に基づく仕様設計が拡大してきた経緯がある。このことは特に耐久性に関する設計で多く見られる。構造設計における限界状態設計法は基本的に性能設計である。しかし、これらのほとんどは全体の枠組みが必ずしも明確ではないこと、構造細目に見られるように仕様設計が混在することなど、統一的な性能設計となっていない。このような設計の形態が、問題の所在と目指すべき将来の方向を見えずらくしてきたきらいがある。したがって、設計の原点である「性能評価」を今一度明確に認識することの意味は大きい。
PDFファイル名 020-03-0003.pdf


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