要旨 |
近年、ダム、舗装を初めとし、大規模橋梁基礎、工場製品などに、スランプ0cmの極めて硬いコンクリート(以下、超硬練りコンクリートと称す)が多用されている。超硬練りコンクリートの品質は、通常のコンクリートよりもコンクリート中の空隙の程度に影響されやすく、配合に支配されるコンシステンシーあるいは締固め性と締固め条件が複雑に関係し合う。すなわち、コンクリートには振動・加圧に適合する硬さあるいは即時脱型後の変形抵抗性と、密実性を得るための柔らかさの両性質が求められる。しかし、超硬練りコンクリートを利用した工法は実務的な経験によって発展してきた経緯があり、振動締固め機構などの解明を追究した基礎研究は極めて少ない。このような背景をもとに、日本コンクリート工学協会では、1996年6月に「超硬練りコンクリート研究委員会」を発足した。超硬練りコンクリートは、ダム、舗装及び工場製品で利用されているものの、それぞれの分野で独自に技術が構築されている。本委員会では、超硬練りコンクリートの総合的な評価を行うため、各分野の技術者並びに官学民が均等に参加する形をとった。また、超硬練りコンクリートによって重要な課題であるコンシステンシーの評価と締固め機構の解明を目指し、それぞれ、コンシステンシー分科会(主査:加賀谷誠、副主査:信田佳延)、締固め機構分科会(主査:遠藤孝夫、副主査:栗田守朗)の2分科会を設置した。本委員会の調査・研究成果は、委員会報告書を作成し、1998年6月24日に開催した、「超硬練りコンクリート技術に関するシンポジウム」においてすでに報告している。本報は、委員会報告書の要点を紹介するものである。 |