種別 | 論文 |
主題 | 衝撃ならびに静的荷重下におけるコンクリートの消散エネルギー |
副題 | |
筆頭著者 | 小柳洽(岐阜大学) |
連名者1 | 六郷恵哲(岐阜大学) |
連名者2 | 大野定俊(岐阜大学) |
連名者3 | 内田裕市(岐阜大学) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 3 |
号 | |
先頭ページ | 113 |
末尾ページ | 116 |
年度 | 1981 |
要旨 | 1.まえがき コンクリートの破壊性状のうち、圧縮強度や引張強度などの強度特性だけでは評価しきれない性質として、衝撃破壊対する抵抗力やひびわれ発生に対する抵抗力、あるいは、ねばりやもろさなどがある。これらの性質を評価するため、破壊力学の靱性パラメタである限界エネルギー解放率GC、恨界J積分JC、表面エネルギーγ等をコンクリートへ適用することが試みられている。材料が等方均質な線形弾性であることを仮定して導かれたGCは、応力ひずみ関係が非線形となるコンクリートには適用が困難であり、この場合には、非線形破壊力学のパラメタであるJCの方が優れているといわれる。GCは最大耐力(強度)で与えられ、JCは最大耐力点にいたるまでの荷重変位曲線が示すエネルギー量から求められるが、いずれにしても両者は最大耐力点以降の破壊挙動には関与していない。一方、曲げ載荷試験などによって供試体の破断に必要なエネルギー計測し、これをみかけの破断表面積(2A)で除して求めたみかけの表面エネルギーγは、破断により生じた表面積のみかけの値しか知りえないことによる不正確さを有するものの、煩雑な数学的処理や仮定を含まない。このため、コンクリートでは、γの工学的意義の方がGcやJcの工学的意義よりもより明確であると考えられる。一般にγは材料の破壊時のエネルギー吸収能力を表わし、GCやJCは主としてひびわれの発生に対する材料の抵抗能力を表わしていると考えられており、目的に応じたパラメタの選択が望まれる。本研究では、各種コンクリートの曲げ供試体について衝撃載荷試験と静的載荷試験を行ない、供試体の破断に必要なエネルギーを計測し、表面エネルギーの概念をもちいて衝撃破壊と静的破壊の関係について検討した。 4.結論 コンクリート曲げ供試体の衝撃破壊時と静的破壊時の消散エネルギーについて検討し、次の結果を得た。(1)静的載荷試験においても衝撃載荷試験(衝撃速度1.2〜1.6m/sec)においても、モルタル曲げ供試体の破断に必要な消散エネルギーは、供試体長さの影響をほとんど受けないことが明らかになった。(2)重錘の重量が大となり衝撃速度が減少するにつれて、すなわち限界落下高さが低くなるにつれて衝撃消散エネルギーは減少した。(3)静的消散エネルギーも衝撃消散エネルギーも、コンクリートの圧縮強度が増加してもほとんど増大しないが、鋼繊維を混入することにより著しく増大した。(4)静的消散エネルギーと衝撃消散エネルギーの間には相関性が認められた。衝撃速度や供試体の支持条件等を考慮すれば、静的試験で計測した消散エネルギーをもとに、衝撃荷重下のコンクリートの消散エネルギーを予測することが可能であろう。 |
PDFファイル名 | 003-01-0029.pdf |