種別 論文
主題 極低温下における鉄筋の重ね継手強度に関する研究
副題
筆頭著者 三浦尚(東北大学)
連名者1 長谷川明巧(東北大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
3
先頭ページ 253
末尾ページ 256
年度 1981
要旨 1.まえがき
 重ね継手は鉄筋の継手の種類の中で最も広く用いられている継手である。重ね継手は、鉄筋の応力を周りのコンクリートを介して他方の鉄筋へ伝えるものであり、従って、重ね継手強度は周りのコンクリート強度に大きく影響される。一方、コンクリートの強度は温度が0℃以下になるとその含水量や温度によって大きく変化し、極低温下においては、常温の場合と著しく異なるものである1)。従って、重ね継手強度は、極低温下では常温の場合と様子が異なると思われる。さらに、重ね継手強度は、一般には、鉄筋の表面の付着力によって長さ方向に一様に鉄筋からコンクリートへ力を伝えるとして、ほぼその重ね合せ長さに比例すると考えられているのであるが、実際には、付着力の分布は重ね合せ長さ方向に常に一様になっているのではなくて、荷重が小さい時には端部では大きく中間部では小さいのである。ところが、破壊に近ずくと、付着力の大きい部分が降伏状態となり、付着力の分布は一様に近ずくと考えられているからこのように考えることができるのである。すなわち、重ね継手強度が重ね合わせ長さにほぼ比例すると考えることができるためには、コンクリートと鉄筋との付着破壊にある程度のねばりが必要となるのである。この点、極低温下においては、コンクリートは常温下と比べて強度は大きくなるがもろくなる傾向にあるため、鉄筋の重ね継手強度に対する重ね合わせ長さの影響は、常温と比べて異なった傾向を示すと考えられる。本研究では、−150℃程度までの極低温下において重ね継手強度がどのようになるか調べるため、種々の重ね合わせ長さの供試体を用い、コンクリートの含水量も2積数(湿潤状態と気乾状態)に変えて実験を行なった。
5.結論
 本研究により、以下のような結論を得た。極低温下における異形鉄筋の重ね継手強度は、重ね合わせ長さが短かい場合、式(1)又は式(2)を一部修正することによってほぼ推定することができそうである。また、重ね合わせ長さが長い場合には、さらに図−5のような低減率を乗じる必要があるものと思われる。今回の実験は未だ供試体の数も少なく、十分信頻度の高い結果は得られていないが、極低温下における重ね継手強度の傾向は示されたものと思われる。今後の問題点としては、今回の実験で低湿下において横方向鉄筋は脆性的に破断することがわかったので、横方向鉄筋の、低温じん性等の低温下での性質と、横方向鉄筋で補強された重ね継手強度との関係を調べる必要があると思われる。さらに、低温下においては重ね継手強度よりかなり小さい荷重で縦ひびわれの発生が認められたことから、重ね継手の疲労強度も常温の時と異なると思われるため、この点も十分調査する必要があるものと思われる。
PDFファイル名 003-01-0064.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る