種別 論文
主題 繰返し引張荷重を受ける重ね継手部の性状について
副題
筆頭著者 大塚浩司(東北学院大学工学部)
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キーワード
3
先頭ページ 261
末尾ページ 264
年度 1981
要旨 1.まえがき
 引張を受ける異形鉄筋の重ね継手の破壊は、一般に、継手部のかぶりコンクリートが鉄筋軸方向に割裂すること、すなわち縦ひびわれの発生によって生じることが多い。この重ね継手部における縦ひびわれの発生には、継手部の鉄筋に作用する引張応力度、コンクリートの強度、重ね合わせ長さ、かぶり、横方向鉄筋など種々の因子が影響を及ぼしている。さらに、縦ひびわれの発生には継手部の鉄筋に作用する引張力の繰り返しの影響も大きいのではないかと考えられるが、これまでに、そのような影響について研究された例は少なく、不明の点が多い。そこで、この報告は、両引供試体を用いて、繰り返し引張荷重を受ける重ね継手部の鉄筋応力分布、鉄筋のまわりのコンクリートの円周方向ひずみ分布、ひびわれ発生状況、疲労強度などの基礎的な性状を調べる実験を行った結果をまとめたものである。なお、実験は種々の性状を精度良く調べるための低サイクル試験と高サイクルの疲労試験とに分けて行った。
5.まとめ
 繰り返し引張荷重を受ける異形鉄筋の重ね継手の性状について、両引供試体を用いて以上のような実験を行った結果、実験の範囲内で次のことがいえる。(1)引張荷重を増加する場合と減少する場合とでは、重ね継手部の鉄筋応力分布図の形状にかなりの差異が生じるが、両者の差は繰り返し回数の増加につれて減少する傾向がある。また、引張荷重を完全に除荷しても重ね継手の端部から少し内側の鉄筋にはかなりの引張応力が残留する。これは異形鉄筋周辺の内部ひびわれ発生によって形成されたくし歯状コンクリートの変形が、内部ひびわれ面におけるインターロッキング等によって、もとにかえらないためと考えられる。(2)重ね継手の鉄筋のまわりのコンクリートの円周方向平均ひずみは、継手両端部から全長の約1/4程度入った所までの領域で主として大きくなり、継手中央部ではほとんど大きくならない。このひずみの大きくなる領域は、かぶりが大きくなれば小さくなり、また、繰り返し回数の増加につれて大きくなる傾向がみられた。(3)静的な引張荷重に対して継手強度が十分ある場合でもその鉄筋の許容引張応力度における繰り返し載荷によって継手が割裂破壊することがある。(4)重ね継手部をスパイラル鉄筋で十分補強した供試体で、かぶりが4.2cm(鉄筋直径の約2.6倍)のものは高い耐疲労性を示したが、かぶりが2.2cm(鉄筋直径の約1.4倍)と小さいものは疲労破壊した。
PDFファイル名 003-01-0066.pdf


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