種別 | 論文 |
主題 | 異形H形鋼を膨張コンクリートで被覆したSCばりの力学的特性 |
副題 | |
筆頭著者 | 石渡正夫(川崎製鉄エンジニアリング事業部) |
連名者1 | 佐藤政勝(川崎製鉄構造技術研究所) |
連名者2 | 辻幸和(群馬大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 3 |
号 | |
先頭ページ | 289 |
末尾ページ | 292 |
年度 | 1981 |
要旨 | 1.緒言 鉄骨のコンクリートとの付着強度が異形鉄筋のそれに比べて劣ることなどの理由から、現行のSRC設計指針では原則として、鉄骨のコンクリートとの付着を期待しない累加強度方式が採用されているが、この方式では、鉄骨とRC部にそれぞれ独立の変形を許容しているため、常用荷重下における部材の実応力が把握できない。また、鉄骨が偏心配置された構造物に対して不経済な設計となることなどから、鉄骨を鉄筋と等価に置き換えたRC方式に基づく計算法が再検討されている1)。このような実情を踏まえて、横ふし異形鉄筋と同じ様な突起形状を上下フランジの外面に設けた圧延H形鋼(以下、異形H形鋼と記す。図1.a参照)を新規に開発し、このH形網をコンクリートで被覆したSCおよびSRCばりの静的曲げ載荷試験から、従来のH形鋼を被覆したSCおよび、SRCばりに比べてコンクリートの最大ひび割れ幅は小さくなること、またその突起によってコンクリートとの一体性が終局時まで保持され、最大耐荷力が8%程大きくなることなど異形H形鋼を用いたはりにおける力学的有利性が明かにされた2)3)。さらにコンクリートの最大ひび割れ幅をより小さくし、かつ現場施工の省力化を図るため、異形H形鋼の下フランジを膨張コンクリートで包囲したプレハブSC部材の実用化について鋭意研究を行っている。本報告では、その手懸かりとして道路工事用などの覆工板として市販されている格子縞異形H形鋼(走行面におけるタイヤとのすべり抵抗を大きくするため、上下フランジの外面に角小状の格子縞突起(図1.b参照)を設けた圧延H形鋼)を膨張コンクリートで被覆したSCばりの曲げ実験を5体実施し、膨張材の使用によってコンクリートに導入されたケミカルプレストレスがSCはりの応力分布、最大ひび割れ幅や終局耐力に及ぼす影響を明らかにし、SCはりに対する適切な膨張材量を検討した。さらに新規に開発した異形H形鋼を膨張コンクリートで被覆したSCはりの曲げ実験によって、膨張材の添加による効果を確認した。 5.結言 格子縞異形H形鋼を膨張コンクリートで充填したSCばりの曲げ載荷実験によって、膨張材添加によるケミカルプレストレスが断面応力性状や最大ひび割れ幅に及ぼす力学的特性が明らかにされた。単位膨張材が45kg/m3程度からケミカルプレストレスによる効果は顕著になること、さらに膨張材を添加することによって下フランジ応力はより小さくなるが最大ひび割れ幅には効目が少ないこと、また膨張材を60kg/m3用いた円柱供試体(標準養生)の圧縮強度が著しく低下することなどを総合的に判断して、適切な単位膨張材量ほ45〜50kg/m3と考えられる。次に、膨張材45kg/m3の膨張コンクリートで異形H形鋼を充填したSCばりの曲げ破壊実験によって、格子縞異形H形鋼を用いたSCばりと同様なケミカルプレストレスによる効果が確認され、新規に開発した異形H形鋼を用いたプレハブSCばりの実用化について明るい見通しがついた。 |
PDFファイル名 | 003-01-0073.pdf |