種別 | 論文 |
主題 | 鋼型枠補強コンクリート合成床版の静的強度 |
副題 | |
筆頭著者 | 園田恵一郎(大阪市立大学) |
連名者1 | 堀川都志雄(大阪市立大学) |
連名者2 | 広瀬清泰(大阪市立大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 3 |
号 | |
先頭ページ | 337 |
末尾ページ | 340 |
年度 | 1981 |
要旨 | 1.まえがき 近年,RC床版に替わる橋梁床版として,鋼とコンクリートの合成床版の研究・開発が進められ,幾つかの施工例の報告もされている。この種の合成床板は,その目的と製造方法によりつぎの2つに大別される。(1)プレキャストスラブとして工場での大量生産による省力化を目的としたもの,(2)場所打ちコンクリートを用いるが,型枠・配筋工などの現場作業の省力化を目的としたもの。(1)の例としてはプレキャスト鋼板コンクリートスラブ(コンポスラブ),サンドウィッチ鋼板スラブなど,(2)の例としては,鋼格子床版(グレーチング床版),ユニットスラブなど挙げられる。(1)は工場製作によるため十分な品質管理による製品の均一化が期待できるが,継手構造や部材間の整合性に難点があり,この点,(2)はコンクリート一体打ちのため有利である。一方,建築構造では鋼製型枠補強合成スラブの実用化が既に数多く見られる。この種のスラブは型枠としての鋼板とコンクリート板がずれ止めにより一体化されているため,比較的薄い床版で大きな耐力が期待できる。しかしながら,この種の床版の道路橋への適用は未だ少なく,著者の知る限りでは一例1)を見るに過ぎない。建築構造の床スラブと道路橋床版では荷重の特性が大きく異なるが,曲げおよびせん断耐力,疲労強度ならびに剛性の面から見て,道路橋への適用は十分可能であると著者は推測している。本研究では,道路橋床版を対象として,場所打ちコンクリートの利点を生かして,図-1に示すようなユニット化された鋼製のデッキプレートを型枠兼用の引張補強材とした合成床版を考案し,その実用化を目的として基礎実験を行ったものである。デッキプレートは薄鋼板に軽量溝形鋼を溶接したもので,溝形鋼の上面に溶接された鉄筋をずれ止めとしてコンクリート部と一体化されている。床版断面は図-2に示すように中空部を持っており,ユニット化されたデッキプレートは高力ボルトにより連結されている(図-3参照)。このデッキプレートはそれ自体でかなりの剛性を持っているため型枠および作業用足場としての役割を十分果し得る。本床版の期待される特長を列挙すれば,(1)床版の支保工,型枠が不要であり,配筋工事等の作業も大幅に軽減できる。(2)床版厚を薄くでき,軽量化が図れる。(3)工期短縮が可能であり,破損したRC床版の架け替え工法としても利用できる。なお,この床版を合成桁床版として利用する際には,合成桁の上フランジとしての有効床版厚は従来のRC床版よりかなり薄くなるが,特に問題はないと思われる。 8.まとめ 1)主筋方向(橋軸直角方向)の正曲げ強度は設計曲げモーメントの約7倍、また負曲げ強度は約4倍あった。2)配力筋方向(橋軸方向)の正曲げ強度は設計曲げモーメントの約2.5倍であり、継手の強度に支配された。3)主筋方向のせん断強度は設計せん断力の約4.4倍であり、鋼板とコンクリートの付着せん断破壊に支配された。4)鋼板とコンクリートとの間のスリップはせん断試験では設計荷重の1.5倍程度から目立ち始めた。以上の結果より、本合成床版のずれ止めの量と配置および継手構造についてはさらに検討を要するものと思われる。特に、ここでの設計方法では、ずれ止めの設計のためのせん断有効幅を一方向版としての曲げ有効幅に等しく採ったが、本来、せん断有効幅と曲げ有効幅は異質なものであるため、せん断有効幅に関する新たな規定が必要になるものと思われた。 |
PDFファイル名 | 003-01-0085.pdf |