種別 論文
主題 老朽橋の疲労性状について
副題
筆頭著者 大城武(琉球大学)
連名者1 浜田純夫(琉球大学)
連名者2 有住康則(琉球大学)
連名者3 成底敏弘(オモト建設コンサルタント)
連名者4  
連名者5  
キーワード
3
先頭ページ 393
末尾ページ 396
年度 1981
要旨 1.まえがき
 高温多湿の沖縄県下のRC橋は地形上海岸に隣接して架設されているものが多く、鉄筋の発錆による老朽化は著しい。これらの橋梁は主として戦後米軍により設計施工されたもので、復帰時に設計資料の移管はなされていない。このため、沖縄県下における橋梁調査はかなり行われている。主な調査内容は外観調査1)、実橋耐力試験、および主桁破壊試験2)である。我国では他に同様な調査および破壊試験は多く行れている。しかし、これらの試験は主として静的なものであり、主桁の疲労試験は皆無と思われる。一般に、鉄筋コンクリートの曲げ疲労強度はコンクリート及び鉄筋の疲労強度から定まり、気象条件による劣化が著しくない限り、コンクリートが問題になることはないと考えられている。ここで用いた疲労実験供試体は極めて老朽化した鉄筋コンクリート橋であり、鉄筋の断面欠損のみならず、付着も十分とは考えられない桁である。この橋梁は昭和25年頃沖縄県国頭郡東村に架設され、海岸に近く、塩害の受けやすい所に位置し、コンクリートの剥落がかなり見られた(写真−1)。このように沖縄県では30年足らずの橋梁でも塩害のため、老朽化のテンポは著しく早い。この研究では、この老朽橋の主桁2本を切り取り、琉球大学の構造実験室で疲労試験を行った。上限荷重として設計荷重を200万回、さらにその1.4倍を100万回(供試体A)、または200万回(供試体B)、その後1.8倍の荷重を破壊するまで繰返した。この実験で特に注目したのは、たわみ、鉄筋応力およびひびわれ巾の増加過程とコンクリートの剥落による鉄筋の付着の有効性の問題等である。
4.むすび
 この橋梁は海岸の近くにあり、わずか30年足らずの供用期間にもかかわらず、極めて老朽化していた。このような老朽橋の耐荷力は必ずしも静的破壊試験では判明せず、疲労試験を必要としていた。この実験から、数少ない供試体ではあるが、次のような結論が得られる。(1)繰返し荷重が増加しても、たわみおよび鉄筋に対する剛性に急に低下することはない。(2)残留たわみおよび残留ひずみは無視できない程大きい。(3)ひびわれ幅は、荷重作用に対しては繰返し回数が増加しても余り大きくならないが、残留ひびわれ幅は増加が著しい。(4)破壊はひびわれの増加およびコンクリートの剥離などにより、付着の低下から一部の鉄筋が作用しなくなり、他の鉄筋に負担がかかり疲労してゆくことから生ずるものと考えられる。これは新設のコンクリートおよび静的な破壊とは異なる。
PDFファイル名 003-01-0099.pdf


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