種別 | 論文 |
主題 | EPMAおよび超微小硬度測定によるアルカリ・シリカ反応機構の解明 |
副題 | |
筆頭著者 | 川村満紀(金沢大学複合材科応用研究センター) |
連名者1 | 枷場重正(金沢大学工学部) |
連名者2 | 竹本邦夫(金沢大学複合材科応用研究センター) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 4 |
号 | |
先頭ページ | 33 |
末尾ページ | 36 |
年度 | 1982 |
要旨 | 1.まえがき 我国ではアルカリ・シリカ反応を起こすような骨材およびそのような反応による被害例は極めて少ないようである。しかし、今後のコンクリート用材料の動向に関連して、骨材の劣化、産業副生産物のコンクリート骨材への利用およびコンクリート中のアルカリイオン濃度の上昇によってこのような反応が起こる確率が高くなると考えられる1)。さらに、アルカリ・シリカ反応による被害例はないとされている我国においても、実際にはそのような骨材は全くないとはいえないようである。たとえば、写真−1は我国のある河川産の再骨材を用いたモルタル(セメント:砂=1:2.25、水/セメント比=0.65)を温度38℃の湿気箱中で40日間養生した試科片の表面状況を示すものである。この写真にはアルカリ・シリカ反応の特徴の1つであるモルタル内部より浸出した液状のアルカリ・シリカゾルによる多数の”しみ(Wet spots)”が見られる。このような諸状況および省資源・省エネルギーという立場から身近な材料を骨材として有効に利用するという考えからも、アルカリ・シリカ反応の予測および防止対策について検討しておく必要がある。しかし、アルカリ・シリカ反応の機構は極めて複雑であり、その予測および防止対策を確立するためには、反応機構に関する基礎的研究が必要とされている。アルカリ・シリカ反応機構については、Powers and Steinourの説2)とVivianらの説3)があるが前者は一つの仮説であり、後者はおもに人工的に合成されたアルカリ・シリカゲルの特性および反応性骨材を含むモルタルの研磨面または薄片の光学的顕微鏡観察に基づいている。しかし、実験技術上多くの困難をともなうため実際のアルカリ濃度の高いセメントペースト・マトリックス中に存在する反応性骨材において生成する反応生成物および反応過程を実験的に究明した研究ははとんどない。本論文はX線微小部分分析および微少部分の硬度測定によってセメントペースト中の反応性骨材内部およびその周辺の反応生成物の化学組成と反応の進行過程を明らかにしたものである。 4.結論 本実において使用した密実なオパール骨材に関する限り、コンクリート中のオパール粒子はセメントペーストとの界面より次第にNaおよびKが侵入するにしたがって軟化する。軟化する部分はアルカリ・シリカ反応が進行している領域と考えられ、このような反応領域の拡大は図−9および図−10に示すようにモルタルの膨張量の進行状況と対応している。CaはNaやKと同様にかなり初期材令より反応するオパール粒子内部に侵入し、とくに粒子径の小さいオパール粒子では最終的にかなりCa含有量の高いアルカリ・シリカゲルが生成されるようである。アルカリ・シリカ反応の進行過程はオパール粒子の大きさによってかなり異なり、本実験では粒子径範囲5−2.5mmのオパール粒子は1.2−0.6mmのものより反応の進行が速く、生成されたアルカリ・シリカゲルの液状化の時期も早いようである。 |
PDFファイル名 | 004-01-0009.pdf |