種別 論文
主題 高強度PCばりの力学的性状に関する研究
副題
筆頭著者 船越稔(法政大学工学部)
連名者1 岡本享久(東京工業大学工学部)
連名者2 田中栄治(広島大学工学部)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
4
先頭ページ 297
末尾ページ 300
年度 1982
要旨 1.緒言
 圧縮強度が800kg/cm2から1000kg/cm2程度のコンクリートは高性能減水剤の利用により普通養生でも比較的容易に造られるようになった。従って、高強度コンクリートの利用に際し最も有利な構造であるPC構造部材に適用する場合、コンクリートの圧縮強度の増大と共に大きなプレストレスの導入が可能となり、斜ひびわれ時のせん断耐力、終局時のせん断耐力および曲げ耐力が改善されることが予想される。しかしながら、高強度コンクリートを用いる際の注意事項としてコンクリートの引張強度が圧縮強度ほど増加しないこと、また圧縮下の応力・ひずみ曲線より最高応力後の応力低下の度合が大きくなりかなりぜい性的性格になることから、PC部材に適用する場合、特にせん断耐力およびじん性評価に関する実験資料の不足から、この種部材に関する明確な規程がなく現行の設計規準を準用する形式をとっている。その為必ずしも高強度コンクリートの特性を合理的に構造物に生かしているとはいえない。以上のことから、本研究では工形断面PCばりを用い、コンクリートの圧縮強度およびせん断補強率を変えて試験体を製造し、導入プレストレス量およびせん断スパンと有効高さの比を変化させて載荷試験を行ない、せん断耐力特性ならびに変形性状に検討を加え、高強度PCばりの設計に関する基礎資料を得ることを目的としている。
4.結語
 高強度PCばりの力学的性状を調べる目的で破壊試験を行ない結果に検討を加えた。本研究で得られた結果を要約すると次のとおりである。(1)導入プレストレスを高強度コンクリート設計施工指針(案)(土木学会)に準じて変えた高強度PCばりの斜ひびわれ発生時および終局時のせん断強さはσcの増加とともにほぼ直線的に増加し、σcの増加に伴なう終局時のせん断強さの増加率は斜ひびわれ時のせん断強さの場合より著しく大きくなった。(2)高強度PCばりのせん断破壊形式はa/dが小なる時常用強度の場合と異なり、せん断圧縮破壊と腹部圧壊の両方の性状を帯びたものとなり、極めてぜい性的であった。(3)高強度PCばりにおいても、a/dが小なる場合では終局時のせん断強さに及ぼすコンクリートの寄与が大であるため、せん断補強効果が悪くなった。(4)高強度PCばりのせん断補強効果に及ぼすσcの影響はa/d=2.5以上でほとんど見られなかった。(5)高強度PCばりの終局時の変形量は破壊形式が曲げ引張破壊あるいはせん断破壊でもほぼ同一であることからじん性に対する安全率が低下し、設計においてはこの点に留意し使用時の許容曲げ圧縮応力度などを低減する配慮が必要と思われる。
PDFファイル名 004-01-0075.pdf


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