種別 | 論文 |
主題 | 広島県内の既存鉄筋コンクリート学校建築物の構造特性について |
副題 | |
筆頭著者 | 佐藤立美(広島工業大学工学部) |
連名者1 | 手越義昭(広島工業大学工学部) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 4 |
号 | |
先頭ページ | 381 |
末尾ページ | 384 |
年度 | 1982 |
要旨 | 1 はじめに 近年の地震における、中低層の鉄筋コンクリート造建築物の被害は予想外に多い。例えば、1978年6月12日宮城県沖地震の被害報告においても、軟弱地盤と云われる仙台市卸町地区に存在した197棟のRC建物のうち、倒壊大破率は約5%であり、また、仙台全市内の106棟の鉄筋コンクリート学校建築での大破、中破率は約7%となっている。したがって既存建物の保有性能の把握は重要な課題であると思われ、広島県内の既存建物約200棟の構造調査を昭和54年から2年間にわたり行った。ここでは、特に問題の多いと思われる学校建築100棟の調査結果にもとづき学校建築の現状を議論するため、以下の報告を行う。 6 結論 広島県内の既存鉄筋コンクリート造学校建築の大半は3〜4階建の低層建築物であり、その規模もさほどばらつきはなく、標準的学校建築となっている。また、鉄筋コンクリート構造計算規準の改正や、年々の使用材料強度にもかかわらず、耐震性能の向上はそれほど顕著に表われていない。構造的には、非常に顕著な方向性を有しており短辺方向は主として耐震壁で水平力に抵抗する形式であり、保有耐力は大きいが、靱性はさはどではない。長辺方向は一部の例外を除けば、純ラーメン構造の建築物であり、一般に保有耐力は大きくない。従って、これらは地震時のエネルギー吸収は靱性に期待することになるが、調査結果では靱性の高い建物の比率は15%程度しかない事が判明した。耐震性能の評価は、耐震珍断基準では、大地震を想定した終局耐力、又は塑性変形能力等を解析するが、広島県下では、大地震の発生確率が小さい事と、地震被害としては、最も靱性の小さい部材の破壊を持って被害と認識される事を考えれば、既存学校建築の長辺方向の一部で存在する脆性部材を含む架構の検討は重要と云える。建物への入力地震動の大きさは、建物の剛性との関係が大きいが、広島県内の既存学校建築は、地域係数の低減が認められていた事と、従前の設計方法では、剛性評価がなされず、柱主筋量の増大により強度を期待する設計例が多く、それに伴う剪断補強筋の増大はあまり見あたらない。このことは、柱の靱性を低下させると共に、柱の剛性の低下にもつながり、結果として、固有周期がやや長い建物の存在を多くしている。建物固有周期も正確に計算することは、各種の壁の評価の問題で困難であるが、独立棟の場合には、常時微動計測でもかなり明らかになり、逆に、計測結果から各種の壁の評価の逆算も可能であり、これらの計測結果の蓄積は重要と考えている。 |
PDFファイル名 | 004-01-0096.pdf |